臨床心理学領域における教育と研究の特色
臨床心理学領域は心理学的な対人援助に関する教育・研究を行います。公認心理師・臨床心理士資格を持つ教員8名、他の人間科学専攻専任教員と非常勤講師や相談員の協力を得て、臨床心理学の教育と研究に取り組んでいます。本領域は、所定の資格課程科目を修得することによって、修士課程修了後、国家資格「公認心理師」および「臨床心理士」資格試験の受験資格を得ることができます。これは、高度専門職業人の育成という本研究科の目的を具体化するものです。授業は、平日の夜間と土曜日の他に、一部は平日(木曜)昼間に行っています。その他の曜日の昼間に、病院や教育相談所等での学外実習を行います。
※㈶日本臨床心理士資格認定協会による第1種大学院の指定を受けています。
公認心理師受験資格取得には、大学院入学前に四年制大学等で公認心理師法に定める指定科目の単位修得が必要です。
具体的には、次のようなことが本学教育の特色及び留意点としてあげられます。
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本領域在籍生は、臨床心理士になるために、2年間で心理療法・カウンセリングと心理アセスメントの理論と実践を基礎から体系的に学んでいきます。実践を深めていくための学びとして、カウンセリングや心理療法に関しては、力動的心理療法、来談者中心療法、プレイセラピー、箱庭療法、ブリーフセラピー、臨床動作法、催眠療法、またイメージ・夢・絵画を通じた援助について、あるいはロールシャッハ法やWAIS等各種心理アセスメントについて、それぞれ臨床実践経験の豊かな講師陣が充実した教育内容を展開しています。援助の対象としては、子どもから高齢者まで、さらに医療臨床・教育臨床・福祉臨床・産業臨床など広範囲をカバーしています。とりわけ心理実践等の臨床教育・訓練を充実させています。
附属の心理相談室での心理臨床活動が義務とされ、各自が継続面接のケースを担当するように指導されます。来談者が多く、実習教育のための『心理相談室紀要』が充実しています。学生も事例研究論文を投稿することができます。
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毎週木曜日には、15:20から20:00まで必修の授業を行っています。特に修士課程および博士後期課程のすべての学生に参加が義務づけられている合同カンファレンスでは、積極的なディスカッションが行われています。
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平日の昼間を利用した学外諸施設(大学病院・総合病院・クリニック・教育相談機関・児童養護施設など)で修士2年間を通して3カ所以上の実習機関で心理実践実習を行います。実習費として、年間50,000円を徴収し、実習の充実を図っています。
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学生の自主的な研究活動を奨励しており、教員の援助を得て、それぞれ活動しています。本学院生と修了生、さらには他大学院生や専門家及び関連職種との交流と研鑽を目的に研修会や講演会を開催しています。
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外部講師による講演会や本学教員による「公開講座」を開催しています。また、学術大会や各種研修会・研究会、シンポジウムを本学教員が中心となって開催しています。これらの企画を運営する中で、学内外の大学院生や専門職および関連職種との交流と研鑽の機会を持てるよう積極的に取り組んでいます。
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博士後期課程では、現場における臨床経験をもとに、研究をさらに深め、心理専門職としての自身の技能を向上させるとともに、指導者ともなりうる人材の育成を目指しています。相談室の活動·カンファレンスにも関与して頂いています。
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修了生の進路としては、教育相談室、スクールカウンセラー、大学学生相談室などの教育領域、クリニックや病院などの医療領域、企業のメンタルヘルス部門などの産業領域、児童相談所・乳児院などの福祉領域等、多岐にわたっています。地域の私設心理相談機関や、国家公務員の心理職として活躍している修了生もいます。
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臨床心理学領域は、社会人や企業等のニーズに応じた実践的・専門的なプログラムとして、2016(平成28)年に「職業実践力育成プログラム(BP)」として文部科学省から認定されました。
開講科目(2023年度以降入学生適用)
区分 | 授業科目の名称 | 単位数 | 配当年次 | 期間 | 授業方法 | ||
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人間科学研究法基礎論 | ○ | ○ | 半期 | 講義 | |||
臨 |
臨床心理学特論Ⅰ(修士論文指導) | 4 | ○ | 通年 | 演習 | ||
臨床心理学特論Ⅱ(修士論文指導) | 4 | ○ | 通年 | 演習 | |||
臨床心理面接特論Ⅰ(心理支援に関する理論と実践) | 2 | ○ | 半期 | 講義 | |||
臨床心理面接特論Ⅱ | 2 | ○ | 半期 | 講義 | |||
臨床心理査定演習Ⅰ(心理的アセスメントに関する理論と実践) | 2 | ○ | 半期 | 演習 | |||
臨床心理査定演習Ⅱ | 2 | ○ | 半期 | 演習 | |||
臨床心理基礎実習 | 2 | ○ | 通年 | 実習 | |||
心理実践実習Ⅰ | 1 | ○ | 半期 | 実習 | |||
臨床心理実習Ⅰ(心理実践実習Ⅱ) | 1 | ○ | 半期 | 実習 | |||
臨床心理実習Ⅱ | 1 | ○ | 半期 | 実習 | |||
心理実践実習Ⅲ | 1 | ○ | 半期 | 実習 | |||
心理療法特論 | 2 | ○ | ○ | 半期 | 講義 | ||
精神医学特論(保健医療分野に関する理論と支援の展開) | 2 | ○ | ○ | 半期 | 講義 | ||
教育分野に関する理論と支援の展開 | 2 | ○ | 半期 | 講義 | |||
臨床心理学研究法特論 | 2 | ○ | ○ | 半期 | 講義 | ||
臨床精神薬理学特論 | 2 | ○ | ○ | 半期 | 講義 | ||
行動療法特論 | 2 | ○ | ○ | 半期 | 講義 | ||
集団力学特論 | 2 | ○ | ○ | 半期 | 講義 | ||
福祉分野に関する理論と支援の展開 | 2 | ○ | ○ | 半期 | 講義 | ||
犯罪心理学特論(司法・犯罪分野に関する理論と支援の展開) | 2 | ○ | ○ | 半期 | 講義 | ||
産業・労働分野に関する理論と支援の展開 | 2 | ○ | ○ | 半期 | 講義 | ||
家族関係・集団・地域社会における心理支援に関する理論と実践 | 2 | ○ | ○ | 半期 | 講義 | ||
心の健康教育に関する理論と実践 | 2 | ○ | 半期 | 講義 | |||
心理統計法特論 | 2 | ○ | ○ | 半期 | 講義 |
本大学院修了生の臨床心理士試験合格率
年度 | 本大学院修了生 | 全国平均 |
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2001年度 | 100% | 68.8% |
2002年度 | 100% | 72.4% |
2003年度 | 90.5% | 64.0% |
2004年度 | 92.9% | 61.2% |
2005年度 | 75.00% | 63.5% |
2006年度 | 92.3% | 65.5% |
2007年度 | 90% | 68.9% |
2008年度 | 70.6% | 65.5% |
2009年度 | 78.6% | 62.3% |
2010年度 | 76.5% | 61.3% |
2011年度 | 86.7% | 60.6% |
2012年度 | 92.9% | 59.1% |
2013年度 | 62.5% | 62.4% |
2014年度 | 84.6% | 60.4% |
2015年度 | 62.5% | 61.8% |
2016年度 | 83.3% | 62.9% |
2017年度 | 80.9% | 62.9% |
2018年度 | 75.0% | 65.5% |
2019年度 | 71.5% | 62.7% |
2020年度 | 55.6% | 64.2% |
2021年度 | 73.3% | 65.4% |
2022年度 | 66.7% | 64.8% |
2023年度 | 71.4% | 66.5% |
本大学院修了生の公認心理師試験合格率
年度 | 本大学院修了生 | 全国平均 |
---|---|---|
2018年度 | 87.5% | 79.1% |
2019年度 | 62.5% | 46.4% |
2020年度 | 81.9% | 53.4% |
2021年度 | 92.3% | 58.6% |
2022年度 | 68.8% | 48.3% |
2023年度 | 90% | 73.8% |