聖書が語るルツとナオミの物語
「モアブの女ルツがナオミに、『畑に行ってみます。だれか好意を示してくださる方の後ろで、落ち穂を拾わせてもらいます』と言うというと、ナオミは『私の娘よ、行っておいで』と言った。ルツは出かけて行き、刈り入れをする農夫たちの後ろについて、畑で落ち穂を拾ったが、そこはたまたまエリメレクの一族であるボアズが所有する畑地であった。」
旧約聖書 ルツ記 2章2~3節
暦は9月となりました。今年は、特別に暑い夏でしたが、皆さんいかがお過ごしでいらしたでしょうか。未だ暑さは継続中ですので、体調に気を付けて新学期を始めたいと思います。
7月のリディア会で私は、ご参加してくださった方々とご一緒にヨセフ物語を学びました。この中では子どもたちには伝えたことのないヨセフ誕生の背景にある母ラケルと叔母レアという2人の女性の生き方や確執にも触れたことから、「聖書の中で読むべきお勧めの人物があったら、教えて欲しい」という要望をいただきました。そこで旧約聖書の中に「ルツ記」というたった4ページの箇所に示されている物語の主人公ナオミとルツについて知っていただきたいと思いました。まずは、あらすじをご紹介します。
ナオミという女性が夫と2人の息子と共に、生まれ故郷であるユダの地ベツレヘムを飢饉のため離れ、異邦の地に行き暮らし始めます。ところが夫が死んでしまい、息子たちもその地でそれぞれ妻を迎えたにもかかわらず、この息子2人も死んでしまうという悲劇に見舞われます。残された嫁たちは、ナオミのもとを去らず、故郷に帰るならば一緒に連れ帰って欲しいと言いますが、ナオミは彼女たちに親元へ帰り、新たな夫を迎えるよう厳しく言った為、1人の嫁はナオミのもとを去ります。しかしもう一人の嫁ルツは何と言っても強い意志で離れないと言い、一緒にベツレヘムにやってきます。そこで姑と自分が食べていくためにルツは懸命に働き、偶然、裕福なボアズという男性と知り合います。ボアズは、ナオミの夫の親戚でした。ナオミの計らいもあり、ボアズとルツは皆に祝福されて結婚し、男の子を授かります。ナオミは人々に7人の息子に勝る嫁を持ったと言われ、物語はハッピーエンドを迎えます。
ナオミは、嫁たちからそれぞれの夫が亡くなっていても、そばを離れたくないと言われるほど、よい姑であったことが想像できます。嫁たちが去れば一人での暮らしがおぼつかない身でありながら、自分のために嫁が犠牲になることを良しとせず、2人に自分のもとを去り、再婚することを強く勧めます。そのためルツもまた姑を思いやり、自分にとっては異邦の地に義母と2人でやって来るのです。大変な決意だと思わされます。また2人の生活を支えるためルツは落穂拾いに出かけます。夫を亡くした後も姑を大切にして休まず働くその姿は人々に好感を与え、やがてボアズという裕福で思いやりのある人物の目にも留まり、親切を受けるようになりました。その後、大胆な計画をナオミはルツに提案し(是非、聖書をお読みください、)ルツもそれに応えて実行し、2人の望みは叶えられます。これらは他者に対する思いやりの深いナオミという人物がもたらした結果であり、それに応えようとするルツの強い思いから生まれた結果でもあります。不幸のどん底の中でも他者を思いやる気持ちを忘れず、他者を守ろうとする決意と努力から、道は開かれていったのです。神様はそうした2人を顧み、ボアズとの出会いという偶然を与えられます。男社会であった当時のイスラエルでは、良い男性との出会いなしに、ナオミとルツのような境遇からの出発は困難でした。出会ったボアズにとっても、幸せな結果であったことが聖書から読み取れます。「他者を思いやる気持ちへの神の祝福」ともいえるこの結末に元気を与えられ、新学期を歩み出したいと思います。 山下久美
