かえでの保育だより

語りを聞く心地よさ

5月17日(土)、幼稚園のホールで押川理佐さん*1の読み聞かせとトークセッションが行われました。前日、押川さんとその語りに添ってピアノを弾く大漉先生とのリハーサルがありました。観客は私一人。押川さんはご自分が紡がれた物語を心を込めて読んでくださいました。今まで文字で読んでいたお話が押川さんの語りによっていきいきと動き出し、映像のように私の中に届いてきました。物語を読んでもらう、語ってもらうことがこんなに心地よく楽しいことなのだとあらためて感じる時でした。

子どもの頃、私はお話を聞いたり、絵本を読んでもらう時間がとても好きでした。幼稚園の頃は毎月配本される「こどものとも」が楽しみで何回も何回も母に読んでもらいました。「ちいさなねこ」(石井桃子作)*2「ちいさいみちこちゃん」(中川李枝子作)*2*ちょっと怖かったけれど「ババヤガーのしろいとり」(ロシア民話 内田莉莎子再話)*2などなど今もページをめくると読んでくれた母の声や匂いのようなものを思い起こします。何十年も前のことなのに本当に不思議です。二人姉妹の長女だった私は妹が生まれてからのこの時間が特に母をひとりじめできる特別な時でした。母は本を読んだ後、必ず私の耳の中を覗き、綿棒で耳の中や周りをそっとぬぐってくれました。耳を触られるくすぐったさと気持ちよさとともに母にひざまくらをしてもらえる嬉しさが母の声といっしょになって私の中によみがえります。

子どもたちはとても絵本が好きです。お話を聞くこともとても好きです。絵本やお話が始まるとさっと集まってきます。礼拝の時もこちらがドキドキしてしまうくらいに子どもたちは語っている私をじっと見つめてお話に聞き入っています。私の語る声が子どもの心に何を残しているのかを日々考えます。あたたかい、嬉しい思いとして子どもの心に残ることを願いながら、子どもたちに絵本やお話を語る毎日です。

(年中・年長組のかえで文庫で持ち帰った本が親子の良い時を繋いでくれますようにと願っています)                           永瀬 真澄

「あなたの御言葉は、わたしの道の光 わたしの歩みを照らす灯。」(詩編119篇105節)

*1 N H K Eテレで放映している「ざわざわ森のがんこちゃん」の脚本家 東洋英和女学院大学卒業

*2 3冊とも福音館書店発行

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