かえでの保育だより

子どもにとって必要なこと

「私は道であり、真理であり、命である。」     ヨハネによる福音書14章5節



  3月まで東洋英和女学院大学保育子ども学科の教員として、19年間かえで幼稚園の運営委員を務めて参りました。この4月からは かえで幼稚園に移籍し、園長の任を拝命致します。み言葉の中に真理の道を見出しつつ、子どもたちのために、何が必要かを、ご家庭の皆様とご一緒に考えていきたいと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。

  東洋英和女学院短期大学を48年前に卒業してから、キリスト教保育の園に勤務し、また再び幼児教育を研究する学生となる期間もあり、その後、保育者養成校の教員として勤めてもきましたが、その中で分かったことは、「子どものために必要なことは、かえで幼稚園のように遊びと仲間を大切にする保育である」ということでした。

  OECD(経済協力開発機構-ヨーロッパを中心に日・米など世界38ヶ国が加盟している国際機関)が行った幼児教育についての世界規模の研究にもそれが現れています。2012年に発表されたものなので、既にご存じ方も多いかもしれません。この研究結果として分かったことは、「幼児期は人生において最重要な時期であること」そして「幼児期に質の高い保育を受ければ、高学歴・高収入につながる人が多く、犯罪者となる確率が激減する。しかし、このような教育を高校生時期にしようとすると、同じ効果を上げるためには7倍の費用と労力がかかる」と、いうことでした。経済機構の調査なので何でも試算し、やや経済面寄りの結果を出す傾向を感じますが、ここから学べることも多くあるように思います。

  まず質の高い保育とは何であるかについてですが、書かれていることを読み込んで短くまとめるならば、「一斉に大人の言うことだけに従いながら、知識を詰め込んでいくような保育ではなく、子ども同士の関わり合いの中で、共に考え、子ども自身が様々なチャレンジをしていくことが許されている環境がある保育」ということができるでしょう。

  幼児期に暗記した知識は11歳頃までに殆ど消えてしまったそうです。しかし幼児期に形成された人格的な土台はその後も残り、質の高い保育を受けた人達には向社会的行動が多く見られ、自己統制能力も高くなることが認められました。

  これからも かえで幼稚園は、子どもたち一人ひとりが将来に渡って輝き続ける未来を自らつかみ取れるよう、必要なことは何かを考え続け、努めていきます。直ぐには分かりにくい、かえで幼稚園の保育の良さを認めてくださり、通わせてくださるご家族の皆様、心から感謝いたします。共に手を繋ぎ合って子どもたちのために歩み出したいと思います。

                         山下 久美



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