かえでの保育だより

じっくりとつなげる

「主よ、あなたの慈しみは天に

  あなたの真実は大空に満ちている」

  詩編36篇6節

 

「安らかに信頼していることにこそ力がある」

  イザヤ書30章15節より

暑い夏でした。室内で過ごすことの多い子どももいたことでしょう。それでも、夏をくぐりぬけた子どもたちの顔は多少日焼けしてひきしまり、身体も手足もひとまわり大きくなっています。ちょっぴりたくましさを感じさせるその笑顔に私の心は動かされます。「さあ、風が心地よくなり、空がますます高く美しく見えるこれからの季節を、神さまのみ心を感じながら、ともに喜んですごしましょう」と弾みます。

園では2学期に、かえで幼稚園創立50周年を感謝しての集いを様々に計画しています。それに向けてこの夏教師たちは、50年分の写真や資料を引っ張り出し、並べ、まとめることをボランティアの方の力もお借りしながら進めました。(まだ途中です)とても時間のかかる大変なことなのですが、意味を見い出しながらの作業でした。その中で、時代による社会状況も園の内外の環境も子どもを取り巻く文化も園の体制も変わってきた50年ですが、土台であり柱となる保育の心(理念)と園をめぐる空気(雰囲気)は、ずっと変わってないということが確認できました。また特に嬉しい驚きは、園の同じ場所で、同じ遊びを、同じような態勢で、同じように夢中なまなざしでしている子どもの写真がどの年にもあることです。これはけっして、マンネリ化とか発展性が無いというのでは無く、子どもにとって「やってみたい」「楽しい」「おもしろい」と感じるものは「50年前も今も一緒(おんなじ)!」いうことであり、そのおもしろさが一人ひとりの中で熟し、また次の代へ次の代へと伝わっているということです。それらの遊びはかえで幼稚園の文化になっています。

1学期にあるお母さまが、「やりたいことを、じっくりとつなげることができる子どもに・・・」とおっしゃっていました。やりたいことがあり、そのことにじっくりと時間をかけることを喜び、楽しみを今日から明日へとつなげる・・・ひとりの子どものその姿が、やがて周りにいる友だちや小さい子どもの中に興味や憧れを生み、「わたし(たち)もやりたい」という思いにつながっていく。私はここで出会った多くの子どもたちの姿に、じっくりとつなげるという姿を重ねることができます。

安心してそこに身を置き、好きなことにじっくりと心を寄せられる時は、幸せな時です。この秋、一人ひとりの子どもに、その幸せを十分に味合わせたいと思います。

50年の間、子どもの遊びも保護者の方の交わりも教職員の保育への祈りと思いも、お守りくださり良き方へと導いてくださった神さまのお力に信頼し、51年目からの日々にも、大切なものをつなげていきたいと望んでいます。

保護者の方々とも、落ち着いて2学期を過ごし、子どもたちの成長をともに支えていきたいと願っています。今学期も、どうぞよろしくお願いいたします。

大漉 知子

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