「ともにつむぎだす ~希望の中で~」
2022年度の3学期、年長組の保育室ではいつの時にも織物を楽しむ子どもたちがいました。織機に張られている縦糸はたこ糸です。(縦糸張りは、日々の保育後に、担任が子どもの織る姿を楽しみに思い巡らしながら準備していました)子どもたちは、その縦糸に横糸となる毛糸を織り込んでいきます。横糸を縦糸に上下上下とくぐらせていくコツや、糸の引き加減のコツを習得するまでには、どの子どもも少し苦心しますが、コツをつかむとおもしろさに夢中になっていきます。織物の楽しさのひとつは、配色です。一人ひとりが実に嬉しそうに「次はこの色にしよう」と思いをこめて次に織る毛糸を手にとっていきます。ある子どもは朝から始め、遊び時間の終わりとともに一旦片付けて、集団での活動をし、お弁当を食べ、また織物を再開し、一日かけて仕上げていました。またある子どもは、毎日少しずつ織り進め、何日もかけて「これで良し」と終わりを決めていました。できあがりの大きさも色合いも風合いも同じものはありません。同じなのは、時間をかけて紡ぎ出したものへの満足そうな表情です。(仕上がった織物は、織機からはずされ、一枚の布として子どもの宝物となっていました。)
さて、2023年度のキリスト教保育連盟から示された年主題は、表題の「ともにつむぎだす ~希望の中で~」です。この1年の保育の日々に、織物の縦糸と横糸のように、子どもと子ども、子どもと保育者、保育者と保護者、保護者と保護者が、出会い・関わりあうことで、紡ぎ出されるものは何でしょう。(目に見えるものも、目に見えない心の育ちもあるでしょう) それを楽しみに味わいたいと思います。時には、糸がこんがらがったり、切れかけたり・・・という時もあるかと思いますが、その時は紡ぎ直し、ほつれを直し、結び直せば良いのです。その過程を一緒に大切にしていきましょう。(糸は撚る(よる)ことや絡ませる(からませる)ことで紡がれていきます)
この文章を書きながら、私は土台となる織機を神さま・イエスさまの存在にたとえられると思っていました。私たちの日々を見守り一人ひとりを大切に思ってくださっている神さま・イエスさまの愛の中で、縦糸と横糸を紡いでいけることは大きな安心です。「大丈夫、神さまが必ず導いてくださる」という希望の中で、新しい年度を歩みだしましょう。どうぞよろしくお願い致します。
「あなたがわたしと共にいてくださる」(旧約聖書 詩編23:4より)
大漉知子