かえでの保育だより

くりかえし くりかえし(10月の巻頭言に続いて)

朝の私の日課の一つは全保育室を回って、出席を再確認することです。(大漉先生と交代でしています)名簿でチェックをしていると「今ね、これ、スープを作っているの。食べてね」とのお誘いやら、良いタイミングで通りかかったというように「ベッドの下にままごとのご飯が転がっていっちゃったの・・・」と困ったことの手助けのお願いなどの声がかかります。庭からは私を見つけて「先生、竹馬しているから後できてね」「昨日の続きの大縄したいから回してね」という子どももいます。一人ひとりの子どもの思いにできるだけ応えたいと思い、誘われたご飯を食べたり、探し物を手伝ったりしていると、保育室をまわるのに20分くらいかかってしまいます。

この文章を書いている10月末には年長組のAちゃん、Bちゃんが私の姿を見つけると「大縄をしよう」と声をかけてきます。Aちゃんは初めは大縄を飛ぶことができませんでした。それでも「クルッと回して飛ぶのをやりたい」と言うので私は縄を回します。跳び上がるタイミングが早かったり、遅かったりしてなかなか跳べません。Bちゃんは初めは飛べなかったのですが、コツをつかむと跳べるようになりました。AちゃんはBちゃんを見て、「◯回跳べたね。Bちゃんすごいよ」と羨ましそうではありますが何回も褒めます。そして気持ちを取り直して自分の順番になると縄跳びを跳ぼうとします。私は「縄がクルッと回って下に来たら跳ぶのよ」とか「縄を見てね」とそのつどアドバイスをします。Aちゃんは「わかった」「くるり、ぴょんだね」と確認して跳びます。

次の日、AちゃんとBちゃんは「先生、大縄しよう」と声をかけてきました。Aちゃんは何回も何回も跳びますがやっぱり、引っかかってしまいます。私が「くるり、ぴょんよ」とAちゃんに言うとAちゃんは頷きます。そばでBちゃんも「Aちゃん、もう少しだよ〜B、見てるよ」とAちゃんを見守ります。何回も引っかかては「あ〜残念」「ちょっと早かったかな」「跳べそうな気がする」と繰り返していると少しずつ、Aちゃんの跳ぶタイミングがあってきました。そしてとうとう、4回跳ぶことができたかと思うと次は「18回」「28回」と跳べるようになりました。

私はこのように子どもに寄り添い支えることのできる幸せを味わうとともにくりかえしくりかえしあきらめずにやり続けることの大切さや尊さ、そしてそれが子どもの心とからだの力になっていくことをAちゃんの姿からもあらためて感じとっていました。

「わたしは植え、アポロは水を注いだ。しかし成長させてくださるのは神です。」(コリントの信徒への手紙Ⅰ 3:6)             

永瀬真澄

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