かえでの保育だより

一歩ずつ

ある朝、私は門から保育室に向かう子どもたちを見ていました。雨が降る中レインコートを着て傘をしっかり握った子どもたちの足取りはしっかりとしていて"自分の足でしっかりと歩いている"ことを感じました。いつもは保育室前まで保護者の方に送っていただいていましたが、今はコロナウィルス感染予防のために年中・年長組の送り迎えは門までとしていただいています。このような対策にご協力いただいている中での、子どもの頼もしい姿に私は子どもたちが大きくなっていることを感じます。

幼稚園に子どもの姿が戻ってきて約1ヶ月。それぞれの歩みが見られます。

 支度を終えた年少組のAちゃんが立ち止まっているのを見て私は砂場に誘いました。Aちゃんは私のことばに「お砂場セット持ってこなかったから・・」と戸惑っています。私は「大丈夫よ」と言って、一緒に砂場まで行きました。砂場の道具を見せて「これ、使っていいのよ」と言うとAちゃんは恐る恐るスコップを手に取り、砂を掘ります。掘れた穴を見て私の顔をにっこり見上げます。

 お母さんと離れることが悲しくて泣いている年少組のBちゃんのところに年中組のCちゃんがやってきました。「どうしたの?」私が小さい声でめくばせをしながら「お母さんに会いたくなっちゃったのよ」と言うとCちゃんは「あ、そうか。私もそうだったね」と昔を懐かしむような顔でBちゃんの頭をそっと撫でます。私からしてみればCちゃんはついこの間までお母さんと離れることが悲しくて泣いたり怒ったりしていたのに、いつの間にか泣いている年少組を慰めている・・と嬉しい気持ちになりました。

 イチョウの木に寄りかかって何回も落ちながら竹馬に取り組むDちゃんの姿に「これは難しい」と投げ出したり、「もうやめた」と言っていた年少、年中の時を思い返します。

 木工室で木片にやすりをかけていたEちゃん。以前は遊びの区切りが難しかったのに片付けの時間になり、私が声をかけると「あ〜もう少しやりたかったなあ。でも明日があるものね」と明るい返事を返してきました。

 子どもってなんて素敵なんでしょう。行きつ戻りつしながらも前に進んでいます。

一歩ずつ・・・。                        

 「わたしは植え、アポロは水を注いだ。しかし、成長させてくださったのは神です。」

                              (コリントの信徒への手紙Ⅰ 3:6

永瀬真澄

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