塩崎 美穂 教授(教育学)
- 専任教員氏名:塩崎 美穂
- 分野:教育学
- 専門分野:教育学、保育思想史、比較文化論
〇主な所属学会:日本保育学会、日本教育学会、幼児教育史学会
研究テーマ
・保育の公共性/保育の哲学
・保育におけるカリキュラムとガバナンスの関係
・保育実践者の倫理をかたちづくる歴史文化的背景
・比較文化論からみた保育・幼児教育の思想的変遷
指導可能なテーマ
教育学、保育思想史、比較文化論など
論文作成指導方法
・関心のある領域における問題の所在を先行研究から明らかにする
・なぜその研究が必要であり、いかに研究を進めることができるのか精査する
・当該研究領域に与えるインパクト、研究の有用性をともに思索する
担当科目
幼児教育特論Ⅱ | 本講義では、日本、ニュージーランド、イタリアにおける保育実践を評価に関わる価値を含めて包括的に検証し、その実態の比較分析を通して、よりよい公的保育が構築される諸条件について考察を深める。 |
幼教・発達学基礎演習Ⅰ(修士論文指導) | 保育・幼児教育に関連する先行研究に学び、自らの関心が研究史上、どこに位置づくのかを確認し、問題の所在を明らかにしていく。また保育・幼児教育を研究するための基礎学問となる研究にも触れながら、研究課題にアプローチするための研究手法についても検討し、自らの研究に取り組めるよう学びの基盤を整える。 |
幼教・発達学基礎演習Ⅱ(修士論文指導) | 「幼教・発達学基礎演習Ⅰ」に続き、保育・幼児教育に関連する先行研究に学び、自らの関心が研究史上、どこに位置づくのかを確認し、問題の所在を明らかにしていく。また保育・幼児教育を研究するための基礎学問となる研究にも触れながら、研究課題にアプローチするための研究手法についても検討しつつ、自らの研究に取り組み、論文にまとめていく手法を学ぶ。 |
履歴・職歴等
【履歴】
2000年 東京大学大学院教育学研究科 修士号取得(教育学)
「中世イスラームの医学書および法学書に現れる「乳母」(ムルディア)をめぐる言説分析 ―イスラーム育児思想史に関する基礎的研究―」
2006年9月 東京大学大学院博士課程 教育学研究科総合教育科学専攻 博士課程満期退学
【職歴】
2021年- 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 准教授(現在に至る)
2014 – 2019年 日本福祉大学, 子ども発達学部, 准教授
2011 – 2013年 尚絅大学短期大学部, その他部局等, 准教授
2010年 お茶の水女子大学, 生活科学部, 学部教育研究協力員
2006 – 2009年 お茶の水女子大学, 生活科学部, 講師
【科学研究費助成研究】
◆基盤研究(B)20330167(2008-2011年)戦後日本の幼保二元化政策と理論・カリキュラム・実践・保育者養成に関する実証的研究(研究代表 湯川嘉津美)
◆挑戦的萌芽研究 21653087(2009-2011年)「子ども」の保護・養育と遺棄をめぐる学際的比較史研究(研究代表 橋本伸也)
◆基盤研究(C)21500707(2009-2011年)大学コミュニティにおける乳児保育の場から生成される重層的カリキュラムの開発(研究代表 浜口順子)
◆基盤研究(B)21300265(2009-2011年)子育て・子育ち支援における支援者の役割と専門性に関する4ヶ国共同研究(研究代表 星三和子)
◆基盤研究(C)23531000(2011-2013年)教育「支援」とその「排除性」に関する比較史研究 (研究代表 三時眞貴子)
◆基盤研究(C)24500905(212-2014年)子育て支援職の再検討:リスク支援と予防支援における役割モデルの構築(研究代表 上垣内伸子)
◆基盤研究(C)26350053(2014-2016年) 保育者養成における子育て支援力養成の枠組みに関する研究 (研究代表 矢萩恭子)
◆基盤研究(C)17K04649(2017-2019年)研究代表者日本・ニュージーランド・イタリアの保育実践評価に関する基礎的研究
◆基盤研究(B)2H00846(2020-2025年)研究代表者日本・ニュージーランド・イタリアにおける保育カリキュラムの創造と評価の研究
著書・論文
【書籍】
「生存権との区分がかえって<教育>を肥大化させることはないか?」広田照幸、宮寺晃夫 編著『教育システムと社会…その理論的検討』世織書房、2014年、(p391)
「イギリスの子育て状況-すべての子どもの幸せを願う政策への転換」加藤邦子、牧野カツコ、井原成男、榊原洋一、浜口順子 編著『子どもと地域と社会をつなぐ家庭支援論』福村出版、 2015年
近藤幹生、塩崎美穂著『保育の哲学1』ななみ書房、2016年(63p)
加藤繁美監修、塩崎美穂編著『子どもとつくる3歳児保育-イッチョマエ!が誇らしい』ひとなる書房、2016年(191p)
近藤幹生、塩崎美穂著『保育の哲学2』ななみ書房、2016年(63p)
「派遣型 日本福祉大学「NHK パパママフェスティバル」入江礼子、小原敏郎、白川佳子編著『子ども・保護者・学生が共に育つ 保育・子育て支援演習~保育者養成校で地域の保育・子育て支援を始めよう~』萌文書林、2017年 (p163)
近藤幹生、塩崎美穂著『保育の哲学3』ななみ書房、2017年(63p)
近藤幹生、塩崎美穂著『保育の哲学4』ななみ書房、2018年(63p)
「乳児の〈泣き〉と保育者の専門性」中坪史典編『テーマでみる保育実践の中にある保育者の専門性へのアプローチ』ミネルヴァ書房、2018年(352p)
「インクルーシブな保育実践をめざしてー多様性の中でつながること」「「災害への構え」とは何かー災害に対応できる公的保育の構築に向けて」大宮勇雄、近藤幹生、川田学編著『どう変わる?何が課題?現場の視点で新要領・指針を考えあう』ひとなる書房、2018年(p142)
「生きるためにあそぶ―あそびが見えてくる社会にむけて」小西祐馬、川田学編著『シリーズ子どもの貧困②遊び・育ち・経験 子どもの世界を守る』明石書店、2019年(344p)
マーガレット・カー、ウェンディ・リー著、大宮勇雄、塩崎美穂訳者代表『学び手はいかにアイデンティティを構築していくかー保幼小におけるアセスメント実践 「学びの物語」』ひとなる書房、2020年(263p)
【論文】
「1920年代における東京市公立託児所の成立」『東京大学大学院教育学研究科紀要』第42号、東京大学大学院教育学研究科、2003年
「「公立託児所」成立期再考─近代日本における公的保育思想─」『保育学研究』第42巻第2号、2004年
「保育事業の公営化と給食思想─幼保として二元的に制度化した思想史的背景─」『保育学研究』第44巻第2号、2006年
浜口順子・佐治由美子・塩崎美穂・菊地知子「保育を「見る」目を育てる―お茶の水女子大学「幼保プロジェクト」による保育現場と大学との協働的カリキュラム開発研究報告(2)」『人文科学研究 第4巻』お茶の水女子大学、2008年、169-181頁
星三和子、勝間田万喜、大川理香、塩崎美穂「保育士はゼロ歳児の<泣き>をどうみているか ─インタヴュー調査から乳児保育理論の検討へ─」『保育学研究』第47巻第2号、2009年
塩崎美穂、菊地知子「日常性から離れない保育学にむけて―「系統的保育案」から「対話的保育カリキュラム」へ―」『人文科学研究』 第6巻、お茶の水女子大学、2010年
星三和子、塩崎美穂、向井美穂、上垣内伸子「地域子育て支援拠点における困難や悩みをもつ親の支援に関する考察 -支援職の「語り」の分析-」『保育学研究』第52巻第3号、2014年
Tullia Musatti, Sylvie Rayna, Miwako Hoshi, Miho Shiozaki, Nobuko Kamigaichi, Miho Mukai, Mothers’ processes of socialisation in centres for children and parents in three countries,Child & Family Social Work, 2015
「教育学を拓く-汐見稔幸教授とともに-」『研究室紀要』第33号、東大大学大学院教育学研究科 教育学研究室、2007年
「「保育」政策の世界的潮流」『幼児の教育』第106巻第12号、フレーベル館、2007年
「地域センターにおける総合的な「保育」の場 イギリス視察訪問(1)」『幼児の教育』第107巻第6号、フレーベル館、2008年
「"EYFSスタンダード イギリス視察訪問(2)」『幼児の教育』第107巻第7号、フレーベル館、2008年
湯浅周子、塩崎美穂「「女性研究者支援」と「大学内にある保育の場」についての覚書」『幼児の教育』第107巻第8号、フレーベル館、2008年
「保育の中の対話とは―「対話」という思想の広がり―」『現代と保育』72号、ひとなる書房、2008年
「アメリカ合衆国の保育事情・保育思想(1)」『幼児の教育』第108巻第2号、フレーベル館、2009年
「アメリカ合衆国の保育事情・保育思想(2)」『幼児の教育』第108巻第3号、フレーベル館、2009年
「保育環境としての水」『幼児の教育』第108巻第6号、フレーベル館、2009年
「「すべての子ども」という保育制度の射程」『現代と保育』81号、ひとなる書房、2011年
仁平典宏・塩崎美穂対談「私たちが考える「すべての子ども」のための保育制度 その2」『現代と保育』84号、ひとなる書房、2012年
「<アーカイブズ>幼児の教育110年の散策:鈴木とく先生が遺した保育実践記録を読む」: 第51巻第7号(1952年7月)より」『幼児の教育』第112巻第1号、フレーベル館、2013年
「「子守り学校」から「保育所」へ-近代日本における乳児保育実践の生成-」 『児やらい』第10巻、尚絅子育てセンター、2013年
「多様性を生きる子どもの声を聴く―対話的実践としての保育方法に向けて」『子どもの文化』子どもの文化研究所、2016年
「言語獲得期の保育実践評価について-保育内容「言葉」における基礎的研究-」『子ども発達学論集』第10号、日本福祉大学、2018年
「「学びの構え」をかたちづくる保育・教育実践―保育内容「言葉」に関する指導方法―」『子ども発達学論集』第11号、日本福祉大学、2019年
「「あそぶ」ってなんだろう?」『ちいさいなかま』8月臨時増刊号、全国保育団体連絡会、2019年
「海外の社会福祉事情 イタリアトスカーナ州:フィレンツェの捨て子養育院」『子どもと福祉』Vol.12『子どもと福祉』編集委員会、2019年
「0歳児をめぐる保育者の専門性」『発達』第166号 ミネルヴァ書房、2021年
受験生へのメッセージ
学び続けるということそのものが、思想的な意味をもっています。学ぶことには、自己に閉じこもらない意志の持続が必要だと思われます。もちろん、日常のささいなことの中にある意識しづらい問いに向かい合う時間をつくることは、容易なことではありません。でも、学びによって新しい問いが拓かれたとき、私たちはそれまでとはちがう自分や世界に出会う喜びを知るのではないでしょうか。大学院で、学ぶおもしろさを一緒に探究しましょう。