前川 美行 教授 博士(教育学)
- 専任教員氏名:前川 美行
- 専門分野:臨床心理学、分析心理学(ユング派分析家)
〇主な所属学会:日本心理臨床学会、日本箱庭療法学会、日本ユング心理学会、日本学生相談学会、日本描画テスト・描画療法学会、世界乳幼児精神保健学会WAIMH、IAAP・ASAJ所属ユング派分析家
研究テーマ
ユング心理学、夢分析や箱庭療法・描画等のイメージと力動的心理療法プロセスに関する研究、身体疾患・自閉症スペクトラムの心理療法、現代社会における身体性や間身体性・自己感の問題、産業・学生相談・児童養護施設等の“生活の場”における臨床実践
指導可能なテーマ
・心理療法過程に関する理論や研究、夢・言葉・遊び・イメージの心理療法、身体・心・自己感、発達障害の心理的特性、分析心理学
・子育て・母親と乳幼児の心理、虐待の問題等への心理的援助
・産業・施設・大学などの“生活の場”における心理臨床実践
論文作成指導方法
ゼミ形式で行う。文献による心理療法過程に関する考察と、実習等の臨床実践から得られた各自の問題意識を話し合い、体験を問い直し、深め、考察して自分自身のテーマに取り組む。ディスカッションを繰り返し、他者に伝える態度と技術を養い、論文作成を目指す。
担当科目
心理臨床実践研究(D) | 実践から新たな知見を得る視点を獲得し、心理療法等心理的援助の実践を論文から学び、ディスカッションする。箱庭療法・夢・描画などユング派論文など心理療法に関する論文を中心に扱う。 |
特殊研究(D) | 心理療法・心理援助に関する理論や論考を学ぶ。臨床実践と研究を通して内省し、議論を重ねて考察を深耕する。オリジナルな視点による博士論文完成を目指す。心理療法の実践、後輩の臨床指導など、研究以外の実践力も培う。 |
履歴・職歴等
大阪大学大学院人間科学研究科博士課程前期修了、京都大学博士(教育学)取得。ユング派分析家。ユング心理学会認定心理療法士。大学院修了後、臨床心理士として、心理相談機関・企業内カウンセリングルーム・総合病院精神神経科・大学学生相談等で臨床実践に携わる。公認心理師。
著書・論文
「常同的世界の隙間から飛び出した『私』ー猫と亀と大きな木ー」 日本ユング心理学会『臨床ユング心理学研究』第8巻 第1号pp.61-87 2022年9月
「水平の超越と空間性 ー河合隼雄の『意志する女性』からの展開ー」 東洋英和女学院大学心理相談室紀要 2022 vol.25・26, 2022年12月
「『一緒に考える』というメッセージの難しさ」神戸女学院大学大学院心理相談室紀要 第23号2022年3月
「内から湧き上がる『私』を感じること」学習院大学大学院心理相談室紀要 第17号 2022年3月
「怒りの底に沈むもの」 京都大学大学院教育学研究科心理相談室紀要48(2021)
「石とアザラシの共有」 京都大学大学院教育学研究科心理相談室紀要47(2020)
「『心と身体のあいだ──ユング派の類心的イマジネーションが開く視界』(老松克博著)」(書評)箱庭療法学研究32巻3号(2020)
「『高齢者の心理臨床──老いゆくこころへのコミットメント』(北山純著)」(書評)箱庭療法学研究 32巻2号(2020)
「夏にまつわる死の影と生ー『夏の庭』と『千と千尋の神隠し』、そして霊祭」『東洋英和女学院心理相談室紀要』(2020)
「一人一人の『小さな物語』ー序章から本編へー」<巻頭言> 東洋英和女学院大学心理相談室紀要 23巻(2019)
「『ユング派精神療法の実践ー西洋人の夢分析の一事例を中心としてー』」(武野俊弥著)(書評) 箱庭療法学研究 31巻3号(2019)
「箱庭療法の普遍性<巻頭言>」 箱庭療法学研究31巻3号(2019)
「この世にダイブする力」『神戸女学院大学大学院人間科学研究科心理相談紀要』(2019)
「夢に託された『窓』について」『臨床心理学事例研究 京都大学教育科相談室紀要』(2019)
「箱庭療法と過酷な体験―こころの表現と子供の『世界』―」『東洋英和女学院大学心理相談室紀要』(2019)
「心理療法の場で『私』が出会う事象 ―定型にはまらないモノ―」『東洋英和女学院大学心理相談室紀要』(2018)
「2億年の時を共に生きていること:コメント」『臨床心理事例研究 京都大学教育科相談室紀要』第45号(2018)
「院生事例論文へのコメント」『心理相談研究神戸女学院大学大学院人間科学研究科心理相談室紀要』(2018)
「『暗闇の底』から跳びだす力:コメント」『天理大学カウンセリングルーム紀要』(2018)
「共時性・コンステレーションに関するユング心理学の基礎文献」『ユング心理学研究』ユング心理学研究 第10巻(2018)
「自閉症スペクトラムのイメージ表現の変容-ランドマークの出現と『私』の生成-」箱庭療法学研究第30巻1号(2017)
「自閉症スペクトラムにおける夢と身体の構造化 : ランダムなイメージをまとめる"自分のもの"という枠に気づくこと」『臨床ユング心理学研究』 第3巻第1号(2017)
「事例から見る箱庭療法の30年」『箱庭療法学研究』第30巻 第1号(2017)
「風景構成法における空間構成のバリエーション -心理臨床家による印象評定より-」『東洋英和女学院大学心理相談室紀要』(2017)
「昔話『蛇婿入』にみる心の変容ー殺された蛇の視点からー」『死生学年報2016』リトン社(2016)
「遊びの『場』を開くことと心理療法 -風景に入り風景を眺める視点-」『東洋英和女学院大学心理相談室紀要』(2016)
「自分を切り出すこと-主体の確立と塗り絵-」臨床ユング心理学研究第1巻第1号(2015)
『針を抜く夢』についての考察-共同体からの離脱と『個』の成立-」臨床ユング心理学研究第7巻第2号(2015)
「イメージ表現と身体性-伝統的な平面感覚と伝来の視点-」『東洋英和女学院大学心理相談室紀要』(2014)
「子どもが語る物語の力-学校に妖怪が生まれるとき-」『東洋英和女学院大学死生学年報』(2014)
「『踊る身体』と『庭』に関する考察―盆踊りと箱庭療法の象徴性―」『東洋英和女学院大学心理相談室紀要』Vol.18(2015)
「アトピー性皮膚炎に苦しむ青年期女性の夢と言葉」『ユング派心理療法』(共著)河合俊雄編著ミネルヴァ書房(2013)
「子どもの生きる力を支える-『禁じられた遊び』と『千と千尋の神隠し』より-」『東洋英和女学院大学死生学年報』(2013)
「風景構成法の空間構成と身体性に関する一遠近法と視点移動―」『東洋英和女学院大学心理相談室紀要』Vol.16(2013)
「“自分の実感”と身体性 -自我体験と身体的自己感―」『東洋英和女学院大学心理相談室紀要』(2012)
「生き物としての箱庭や言葉」『箱庭療法学研究』第24巻第3号(2012)
「身体と記号の共生~見えない語り手~」『東洋英和女学院大学心理相談室紀要』(2011)
「面接構造を乱す不測の事態への対応法」『臨床心理学』金剛出版 第11巻第2号(2011)
「術後せん妄時の幻覚に苦しむ癌患者にみられた身体性の回復に関する考察」箱庭療法学研究第24巻第2号(2011)など。
『心理療法における偶発事』(著書)創元社(2010)
「臨床心理学から見た『出会い』の諸相」『東洋英和女学院大学心理相談室紀要』(2009)
「臨床心理学を活かす 医療①:ワンダーランドの招待状」『新臨床心理学入門』(2006)
「臨床心理学を活かす 医療①」 『新臨床心理学入門』(分担執筆) 日本評論社(2006)
「夢イメージにとどまることの難しさ」 心理臨床学研究第20巻第2号(2002)
「ある身体疾患の女性との心理療法」 心理臨床学研究第16巻2号(1998)
「夢に現れる“醜なるもの”のもつ意味」 心理臨床学研究第15巻1号(1997)
共著『こころの日曜日4』菅野泰蔵編 法研(1996)
「社員相談室」『臨床心理士職域ガイド(こころの科学増刊)』(分担執筆) 日本評論社(1995)
「職場不適応」『心理臨床学大系 第10巻』(分担執筆) 金子書房(1992)
共訳書『父親-ユング心理学の視点から』Samuels,A編集:The Father –Contemporary Jungian Perspectives-(小川捷之監訳)翻訳担当箇所:J.ビーブ著「父親のアニマ」紀伊国屋書店(1987)
○夢ナビ講義-「語りやイメージにより、人の心の中にある力を引き出す『心理療法』」
受験生へのメッセージ
心理職としての実践から学び、さらに深く考え、論文を書く力を身につけてほしいと思っています。瞬間の動きを感受し、言葉にすることによって自身の思考が洗練されます。