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2024年度後期入学式式辞

2024年9月14日(土)に大学院後期入学式を行いました。

星野学長の式辞です。

 東洋英和女学院大学大学院に入学された皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。教職員一同、ご入学を心からお祝いし、歓迎いたします。また、こうして学院の副院長と宗教部長、大学院の教職員が列席して、厳かに入学式を挙行し、お祝いできますことは、本学にとってこの上ない慶びであります。

 大学院は社会が用意する高等教育制度の最終段階に位置しています。人生のすべての時間を通して、人は学びを止めることはありませんが、用意され、準備された環境のなかで、教員や職員の手厚い支援の下で学ぶ機会は、これからの人生において極めて貴重なものになるに違いありません。

 本学は、建学の精神である「敬神奉仕」の理念に基づき、専門職業人の育成と豊かな国際性と広い視野を持つ人材の育成をめざす教育を行う大学院です。皆さんは、これから二足の草鞋を履こうとされているわけですが、そのことの大変さは十分に想定されておられるでしょうし、ご自身の覚悟と周囲の励ましとがあればこそ、敢えてその道を選ばれたのだと確信しております。いずれにせよ、本大学院へのご入学の強い意志と高い志に対して、心よりの敬意を表したいと思います。

 私どもの大学院の母体である東洋英和女学院は、1884年の創設ですので、今年は節目の創立140年目に当たります。これから今年後半にかけて、140周年を記念する様々な行事が予定されています。一方、大学院は東洋英和グループの中では最も新しい部門であり、大学が開学された1989年から4年目の1993年に呱々の声を上げました。今年、大学院は開学32年目に当たります。以来、人間科学研究科と国際協力研究科の2つの研究科を合わせますと、今日に至るまで、それぞれの研究領域で、累計で1,000本を超える修士号と博士号の学位を授与し、学院の建学理念である「敬神奉仕」を具体的に実践する有為な人材として巣立っていきました。東洋英和女学院という名前ではありますが、本大学院は、男性・女性を問わず学びの場を提供し、日本の社会・経済における価値の多様化、高齢化、国際化の発展に対応できる高度な知識と幅広い視野をもつ職業人育成を目標にしています。

 さて、我々の社会は、現在、見渡せば多くの問題や課題が山積しています。学問や技術がどんなに進歩しても、問題は解決するどころか、むしろ増えているというのが現状です。世界に目を向ければ、2022年2月に起こったロシアによるウクライナ侵攻は2年半になりますが未だ収束の目途がつかず、イスラム過激派ハマスによるイスラエル侵略とその後の軍事衝突により、世界情勢が緊迫し、夥しい数の犠牲者が出ています。また持続可能な社会における生産と消費の問題、地球温暖化、これからも発生するであろう人類が経験したことのないパンデミックへの対応、加えて、最近では生成系AI技術の発展などなど、課題に事欠きません。そのような中、本学大学院に入学され、これから、高度専門職を目指して歩まれようとされているわけです。

 世界が目まぐるしく変動を続け、先行き不透明で見通しがきかない中にあるからこそ、大学院生にはぜひ「新しい時代を見極める目」を養って欲しいと思っています。大学院の課程において求められるのは、徹底的に「突き詰めて、思考をする」という作業です。これからどのようなテーマを選ばれるにせよ、対象となる課題を特定し、それがなぜ起きているかを「問い」続け、自分なりに仮説を立て、それが正しいかどうかを、一定の方法論で確認し、検証・論証して結論を導いていく、途中で見つけた疑問や疑義に対しては、まずは異を唱え、共に歩む仲間と議論をしてください。それが今後の研究において大きな原動力になります。それこそが、大学院生として獲得すべき「学問の作法」でもあります。直ぐに答えを求めようとするのではなく、まず「問う」ことから始め、仮説を設定し、検証を繰り返してください。そのような過程を経ることを通じて、先を見通す洞察力を高め、影響力を持って正しいビジョンを広められる指導的社会人になって頂きたい。それが新大学院生への私どもの願いです。

大学院では、その研究が独自性・独創性が求められる分、重荷や苦労が伴い、時には孤独に陥りがちです。独創性の「独」は、孤独の独であり、独立の独でもあります。要するに一人で創り出すという意味ですが、しかし、ぜひ覚えておいて欲しいのは、院生はこの大学院では決して一人ではない、ということです。この大学院では共に歩む仲間の院生がいます。研究の先達である教員がいます。さらには、歴史の彼方から文献や業績を通じて啓発してくれる学問上の偉人たちが控えています。平日の夜間や土曜の研究や実習等は大変だろうと思いますが、私共大学院で濃密な時間と空間を共有し、教員や仲間と切磋琢磨し、社会をより良い方向に導く力強いリーダーになって頂くよう、切に願います。ご自分が取り組まんとしている研究が進み、夢が叶い、希望が実現できるようお手伝いするために私共が控えていることをいつも覚えておいてください。

 本大学院での研究が、充実し、実り多いものにならんことを、また本学での研鑽が、東洋英和の先達たちがそうであったように、今後の人生を支える力強いバックボーンとなることを期待して、私の式辞といたします。

 ようこそ東洋英和女学院大学大学院へ。東洋英和の一員になられたことを心から歓迎いたします。

 

2024年9月14日

東洋英和女学院大学 大学院

学長 星野三喜夫

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