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2023年度3月期学位授与式式辞

 2024年3月16日(土)、2023年度3月期大学院学位授与式を行いました。

 人間科学研究科修士課程24名、国際協力研究科修士課程2名に授与いたしました。

 

星野学長の式辞です。

 

東洋英和女学院大学大学院 学位授与式式辞


 

東洋英和女学院大学大学院修了の皆さん、修了おめでとうございます。教職員一同、心からお祝い申し上げます。また、皆さんの大学院生活を支えてくださったご家族、ご親族、そして関係者の皆様、教職員を代表し、お慶び申し上げます。

 

修了生の皆さんは、それぞれ異なったバックグラウンドの下、強い意思と志をもって東洋英和女学院大学大学院を選ばれてその門をくぐり、勉学と研究に励み、所定の課程を修了し、また修士学位論文と口頭試問をパスして、本日ここに、めでたく修士号学位授与の日を迎えられました。

皆さんの大学院での研鑽の日々には、いろいろなことがあったことは想像に難くありません。前半は長引いていたコロナ禍の影響の中で、必ずしも恵まれた研究環境でなかったかも知れませんが、それでも、楽しかったこと、嬉しかったこと、達成感を味わったことなども沢山あったと思います。また、今日の充実した喜びの日を迎えるまでには、仕事と学問の両立を含め、並々ならぬご苦労があったと思います。そのご努力と獲得された成果に対し、深い敬意を表するものです。

 

大学院修了は、大学の学部卒業の次に来る人生における大きな節目であるわけです。皆さんは今日、高等教育の最終段階に位置する大学院修了の学位記を手にされました。皆さんがこれから書く履歴書には、東洋英和女学院大学大学院修士課程を修了し、人間科学、ないし社会科学の修士の学位を取得したという新しい項目が加わります。皆さんは私共東洋英和の建学の精神である「敬神奉仕」の理念の下、本大学院で高度な専門職としての訓練を受け、研鑽を重ね、それが評価されて学位を授与されたわけです。どうか、東洋英和女学院大学大学院の修了生であることに誇りを持ち、本学で研究された成果や、身に付けた研究手法を基礎とし、また出発点として、現実社会が直面している困難さ、複雑さにこれからも真正面から立ち向かって行くべく、一層の研鑽を重ねていっていただきたいと思います。

さて、社会を見渡せば、AIを始めとした様々な技術革新により、私達を取り巻く環境は激しく変化しています。今までは普通に活用できていたスキルや知識が既に陳腐化してしまっている場合が多くなっています。例を挙げれば、Web会議があります。コロナ禍によりWeb会議が一般的になってきた今では、例えばビジネスで「営業職は顧客先に足を運んでこそ成果をあげられる」という従来の認識が変わり、Web会議でも成果を挙げられるスキルを身につける必要が出てきています。古い思考パターンや習慣を捨て、新しいアプローチや考え方を採用することがとても重要になってきているわけです。過去に学んだ知識を捨てるのではなく、自身が持つ知識や価値観を振り返って、現状にあわない価値観や新たな学びを阻害する固定概念を取捨選択することですが、世間ではこれを、アンラーニングと言ったりしています。私達は既に、多かれ少なかれアンラーニングを経験してきています。例えば、就職や転職、異動あるいは昇進などの変化がある時は、それまでの成功体験や考え方をいったん脇におき、新たなマインドセット、新しい知識・スキルを身につけることが求められます。アンラーニングは人が変化に適応するために必要なプロセスであり、言いかえれば、どのような変化にも対応して成果をあげられる人は、自らアンラーニングができる人材とも言えます。既存の仕事の信念やルーティンをいったん脇に置き、 新しいスタイルを取り入れることです。ビジネスモデルの変化が激しいこれからの時代は、従来の仕事の方法だけでは太刀打ちできません。持てる知識・スキルのレパートリーのうち有効でなくなったものを捨て、代わりに新しい知識・スキルを取り込むことが重要です。捨てるといっても、昔の記憶、知識・スキルを忘れてしまうことではありません。意図的、意識的なプロセスによって、一旦使用停止にするだけのことです。必要があればまた取り出して使うことです。技術革新や働き方の変化などによって、企業を取り巻く環境はますます変化してきています。競争や変化に取り残されず持続的に成果を発揮していくためには、常に自分自身の知識をアップデートし、主体的に学び続けていく姿勢が欠かせません。スキルや知識を学びほぐすアンラーニングは、先の見えない現代にぴったりの取り組みといえます。皆さんにはぜひこのアンラーニングを意識し、積極的に取り組んで、成果に繋がるアンラーニングを実践して頂きたいと思います。

 

さて、先ほど、修了生に対して、学位記とともに黄色い水仙(黄水仙)の花をお贈りしました。黄水仙の花の贈呈は東洋英和女学院の慣行で、その起源は戦前まで遡ります。黄水仙の花ことばは「愛に応える」です。黄水仙の花の一輪一輪に込められた「敬神奉仕」の建学の精神とスクールモットーを、皆さんはどうか忘れないで頂きたいと思います。それこそが、増々複雑化する世界に向かって船を漕ぎ出さんとする修了生への力強い支えとフォローの風になってくれるに違いありません。

 

この間、東洋英和女学院大学と修了生の皆さんを支え続けて下さいました、地域の皆様、並びに関係各位に対しまして、重ねて、心より御礼申し上げます。修了生の皆さん、どうぞ、東洋英和女学院大学大学院の修了生であるということに胸を張り、大学院での研鑽を通じて得た自身の成長や仲間の広がりを今一度しっかり確認し、自信を持って東洋英和女学院大学大学院で育てた大きな両の翼で空高く飛び立って下さい。

 

皆さんの未来が前途洋々で、明るく、限りなく広がることを信じ、また祈念して、私の式辞といたします。修了生の皆さん、改めて修了、まことにおめでとうございます。Wish you the best of luck in your future. 皆さんの未来に栄光があらんことをお祈りします。

 

2024年316日 東洋英和女学院大学 大学院 学長  星野三喜夫

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