2025年度3月期学位授与式式辞
2026年3月14日(土)、2025年度3月期大学院学位授与式を行いました。
人間科学研究科修士課程18名、国際協力研究科修士課程7名に授与いたしました。
東洋英和女学院大学大学院学位授与式式辞
大学院修了生の皆さん、本日は修了、誠におめでとうございます。教職員一同、心よりお祝いを申し上げます。また、この日を迎えるまで皆さんを支えてくださったご家族、ご友人、関係者の皆様に対しましても、大学院を代表して深く感謝申し上げます。さらに、本日この場に学院の院長先生、宗教部長、そして同窓会の代表をお迎えし、厳かに学位授与式を挙行できますことは、私にとっても大きな慶びであります。指導教授の先生方にも、改めて心より御礼申し上げます。
皆さんは強い志をもって本学大学院に進まれ、勉学と研究に励み、所定の課程を修了されました。その歩みの中では、仕事や家庭との両立をはじめ、多くの困難に直面されたことと思います。しかし同時に、研究の喜びや学びの発見、人との出会いといった貴重な経験も積み重ねてこられたことでしょう。本日の修了を迎えられた皆さんのご努力と成果に、心から敬意を表します。
本学は学院標語「敬神奉仕」の下に立ち、知の探究を通して社会に貢献する人材を育んできました。皆さんはこの精神を胸に、専門的な知識と研究の姿勢を深められました。どうか本学の修了生であることに誇りを持ち、これからも探究の姿勢を失わず、社会が抱える課題に向き合い続けていただきたいと思います。
現代社会は、かつてない速さで変化しています。なかでも生成AIの進展は、私たちの研究、仕事、日常生活のあり方そのものを大きく変えつつあります。AIは文章を生み出し、画像を作り出し、意思決定を支援するまでに進化しました。けれどもそれは、私たちに新しい問いを突きつけてもいるのではないかと思います。たとえば、創造性とは何か、人間固有の思考とは何か、責任を伴う判断は誰が担うのか、といった問いです。まさに人文知や倫理の視点が欠かせない時代に私たちは生きています。
こうした課題は、技術だけでは解決できません。歴史や文化、宗教や哲学といった幅広い知の営みと結びついて初めて、AIを人類の幸福のために用いる道筋が見えてきます。皆さんが大学院で培った批判的な思考力、問いを深める姿勢こそ、これからの社会に強く求められています。
同時に、少子高齢化と人口減少は、社会の制度や人々の暮らしを根本から変えつつあります。さらに気候変動や環境問題は、世代を超えた責務として私たちに迫っています。これらの課題は容易ではありませんが、皆さんが歩んでこられた学びの道は、必ず未来を切り拓く力となることでしょう。どうか恐れることなく、挑戦の機会として受け止めてください。六本木のキャンパスで培った学問の方法と真理を求める姿勢が、皆さんをしっかりと支えてくれるはずです。
先ほど、修了生の皆さんに、学位記とともに黄色い水仙(黄水仙)の花をお贈りしました。黄水仙の花の贈呈は東洋英和女学院の古くからの慣行で、東洋英和のゆかりの地であるカナダでは、黄水仙は、主であるキリストの受難と復活を祈念する時期に一面に咲き誇ることから、レント・リリー(Lent lily受難のゆり)とも呼ばれます。皆さんは、「敬神奉仕」の精神を心に留め、社会へと漕ぎ出していただきたいと思います。
最後に、皆さんに聖書の「コヘレトの言葉」から一節を贈ります。
「何事にも時があり、天の下の出来事にはすべて定められた時がある。」*
私たちの人生にはそれぞれ「神が与えてくださる時」があります。先行きの見えにくい時代にあっても、この言葉は、今という時を誠実に生き抜くことの大切さを思い起こさせてくれます。どうか皆さんが、自らの人生の時間を豊かに刻みながら、光り輝く道を歩んでいかれることを願っています。
修了生の皆さんのこれからの歩みが、神の恵みと祝福に満ち溢れることを心から祈念し、私の式辞といたします。改めて、修了おめでとうございます。
2026年 3月 14日
東洋英和女学院大学大学院 学長 星野三喜夫
*旧約聖書 コヘレトの言葉3章1節(新共同訳)








