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裁判官

東洋英和女学院卒業部⾨

掲載日:

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職種

中学部 中高部 卒業部⾨ 専⾨系 小学部 高等部

大寄 麻代

小学部から高等部まで東洋英和女学院で学ぶ。1992年東京大学文科一類に入学し、法学部で学ぶ。4年次在学中に司法試験に合格。大学卒業後、司法修習を経て1998年裁判官(判事補)に任官し、東京地方裁判所民事部に勤務。2000年より2年間、英国オックスフォード大学大学院に留学。帰国後は東京地裁、那覇地裁、東京高裁、福岡地・家裁、知財高裁、最高裁調査官室、仙台地裁を経て2023年より東京地裁部総括判事。

人と人との紛争を解決するため、力を尽くす

さまざまなことに挑戦してきた英和時代

東洋英和で学んだ小学部から高等部時代のことを思い返すと、好奇心旺盛でさまざまなことに取り組んできましたが、自分が何かを求めて努力したいと思った時には、必ず周囲の先生方や仲間がそれに応えてくださる環境だったことを実感します。小学部時代には、野鳥に興味を持って研究をしたくなり、バードウォッチングに熱中しました。自分であれこれ調べては鳥の観察記録ノートを作り、先生に提出。担任の先生はそれを教室に掲示してくださり、クラスの仲間と観察できるように、校庭には鳥の餌台と巣箱まで作ってくださいました。
高等部に進むと、今度は「ドイツ語を勉強したい」と思い始め、仲間を集めて先生に相談。「ぜひやってみなさい」と、その先生は自ら同好会の顧問になってくださいました。野尻キャンプも大好きで、夏が来る前から野尻仲間と一緒に、当時まだマイナーだった2人乗りヨットの操作を覚えるのに夢中になった思い出もあります。

こうして、新しいことにチャレンジするとき、常に周囲に励ましていただいた経験が、裁判官という未知の進路を選択する際も、その後、さまざまな難しい仕事に挑戦する際も、「まずはやってみよう」と自分を後押ししてくれる大きな財産になっています。
また、文章を書くことが好きで、中学部時代には小説を書いて応募したこともありました。中高部では文芸部や新聞部に所属し、取材して記事を書くことはとても楽しかったです。実は、裁判官の仕事も判決文を書いたり、調査官として担当した事件の判例解説を執筆したり、文章を書く仕事が多いのです。
そして、英和時代に敬神奉仕の教えのもと、常に隣にいる人を思い、困っている人がいたら自分には何ができるかを考えるようになったことは、職業選択に大きく影響したと思っています。

英和らしい発想に近い仕事。裁判官は裁くだけではない

大学では法律に興味を持って法学部を志望し、司法試験を受験しました。合格後、2年間の「司法修習」が始まりました。これは「弁護士」「裁判官」「検察官」を目指す人たちが必ず受ける研修で、2年間で弁護士事務所、裁判所、検察庁でそれぞれ実務を経験したうえで、進路を選ぶことができます(注:現在では司法修習は1年間に短縮されている)。

私は裁判官を希望し、試験を経て採用され、東京地裁の民事部に配属されました。そして現在まで26年間、ずっと民事裁判を担当しています。裁判所が有罪か無罪か、有罪であればどんな処罰を行うのかを判断する「刑事裁判」に対して、「民事裁判」は、例えば家屋の賃貸に関することや事故の損害賠償、騒音問題など、私人どうしの紛争を審理します。

今でこそ、女性初の弁護士から裁判官になった方が朝ドラのヒロインになり、女性裁判官の仕事がドラマで描かれる時代にもなりましたが、英和にいた当時の私には、裁判官の仕事についての情報がなかったのです。“紛争を起こした双方の話を聞いて、どちらが正しいかジャッジする人”という漠然としたイメージしか持っていませんでした。
しかし、実際の裁判では、裁判官は「判決」を下すだけでなく、当事者どうしでは解決できないトラブルの解決の仕方を考え、双方が「和解」できるような方法を提案することもできるのです。例えば、判決では、今後の紛争の再発を防ぐための方策を当事者間で約束するようなことが実現できませんが、和解では可能です。和解は民事裁判の特徴であり、裁判官が和解をリードするのは、日本独自のスタイルです。そこには、常に困っている人のことを考えてその人のために自分の力を尽くす、英和らしい発想にも近いものがあると思っています。

裁判官を目指す人たちへ――若いうちに想像力を養う経験を

「好奇心をもって、人と関わるいろいろな経験をしてほしい」と大寄さん

裁判所というと、男性ばかりの世界のように思われているかもしれませんが、意外なことに女性が働きやすい職場ですし、近年は新しい任官者の3割程度が女性裁判官です。産休や育休の制度も整っていて、私自身も同業の夫と結婚し、出産を経験しましたが、裁判官のキャリアに影響することなく仕事を続けられました。
裁判官の場合は2〜3年ごとに異動になり、勤務地が変わります。しかし、同業の夫婦の場合は異動時期を合わせたり、近いエリアで働けるように配属してくれたり、できるだけ家族が一緒に暮らせるように配慮してくれます。
勤務体制も自由度が高く、裁判のある日は裁判所に出勤してフルタイムで複数の事件を担当しますが、裁判のない日は自宅で判決文を書いたり、調べ物をしたりすることができます。コロナ以前から、在宅勤務のシステムが導入されていたわけですね。

裁判官や弁護士を志すなら、法律の勉強だけをするのではなく、むしろそれは最後でいいのかもしれません。事件を解決していくためには、「想像力」が非常に大切です。世の中で起きる事件、トラブルの多くは、自分自身が直接体験できることではありませんから、当事者の状況、思いを想像して解決法を考えなければいけません。そのために、若いうちに好奇心を持っていろいろなことを見たり聞いたり、やってみたりする経験が必要なのです。
同じ裁判所にも、英和の先輩や同級生、後輩が何人か裁判官として勤務していますが、誰もがものおじせず、前向きなエネルギーを抱いて課題や物事の解決に邁進していく姿が共通していて、英和らしさを感じますね。
裁判所では、裁判官以外に書記官や調査官、執行官、事務官など、いろいろな職種の人が働いています。なかでも、書記官は半分くらいが女性です。もっと多くの人たちに、裁判所に関わる仕事を目指してほしいと思います。(2024年4月、談)

※記事中の所属・役職等は各記事掲載当時のものです。

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