東洋英和女学院卒業部⾨
掲載日:
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職種
中学部 中高部 卒業部⾨ 専⾨系 小学部 福祉・⾮営利組織系 高等部丸田 容子
2004年東洋英和女学院高等部卒業。英国エセックス大学大学院で国際人権法を学び、UNICEF(国連児童基金)のカンボジア事務所、外務省、UN Women(国連女性機関)、IFAD(国際農業開発基金)で勤務。UN Womenでは2013年からジェンダー権利専門官としてキルギス共和国で勤務し、その後は政策分析官としてニューヨーク本部で勤務、2017年からはエジプト・カイロのアラブ地域事務所、2020年からアジア太平洋地域事務所のプロジェクトに携わり、日本事務所でジェンダーに基づくステレオタイプの撤廃に向けた取り組みを主導した後、ニューヨーク本部と共に女性への暴力に関するデータの収集及び分析業務に携わった。現在はIFADの広報コンサルタントとして、日本におけるIFADのビジビリティ向上のための業務に従事。
世界中の女性と子どもたちを困難から救いたい
人生を決めた高等部時代の留学
高等部3年。ハンドベル部の仲間と(2列目左端)
米国留学中だった高2の夏、ニューヨークの国連(国際連合)本部を訪ねる機会があり、世界の広大さと多様性に触れた私は「将来、ここで働きたい!」という夢を抱きました。その漠然とした思いが確信に変わったのは、高等部を卒業して大学に在学していた時、インドの被差別民が暮らす村にホームステイして、差別や貧困、子どもの労働などの問題に直面したことからです。この時から、私は国連の職員になるための準備を始めました。
国連は、第二次世界大戦の反省から、全世界が平和と基本的人権を守ることを目的として1945年に発足した国際機関であり、日本を含めた193カ国が加盟しています。2024年の時点で、約4万4千人の国連職員が世界各地でさまざまな活動に従事しています。
国連の職員になるためには、高い語学力はもちろん、修士号取得以上の専門性を持つことに加えて、途上国での職務経験が求められます。私は、世界最大の国際人権NGOであるアムネスティ・インターナショナルを通じて、大学1年生の頃から5年間、人権問題に関わるボランティア活動に従事しました。
困難に直面する人たちのために世界各国で活動
UN Womanでの活動。ヨルダンのザータリ難民キャンプにて(2018)
そして、英国の大学院で国際人権法を学んで修士号を取得した後、日本の外務省本省での勤務を経て、ようやく国連に採用されました。
国連のシステムは、国連ファミリーに属する各機関で構成されており、私はこれまでUNICEF(国連児童基金)、UN Women(国連女性機関)、そして IFAD(国際農業開発基金)という3つの国連機関に勤務しました。勤務地はカンボジア、キルギス共和国、米国(ニューヨーク)、エジプト、そして日本です。
仕事の内容としては、子どもたちを人身売買などの危険から保護するための業務や、政府に対して女性を早婚や誘拐から守る法律を施行するように働きかけるアドボカシー活動、女性に対する暴力を撤廃するための国際的な政策の作成業務、シリアの女性難民への緊急援助や職業訓練の提供、暴力的過激主義を防止して平和なコミュニティを構築するための女性のエンパワーメントの促進、差別的な社会通念やジェンダーに基づくステレオタイプの撤廃に向けた取り組みなどが含まれます。
現在は、開発途上国の農村地域の人びとに投資し、貧困の削減、食料安全保障の強化、そして栄養改善を支援する国連の専門機関であるIFADのコンサルタントとして、IFADの活動へのメディアの関心を高め、理解を深めるための業務に従事しています。
英和で育まれた隣人を思う心
UNICEFでの活動。カンボジアにて(2011)
国連などの国際機関の仕事に携わるためには、言語力や専門分野に秀でていることだけでなく、情報収集能力や積極性、リーダーシップなども求められます。そして、助けを必要としている人たちのことを思って働くことを喜びと感じる奉仕の精神を持っているかどうかです。
私は英和に通っていた12年間で、そのような心を学びました。小学部では、お米を少しずつ持ち寄って食べるものに困っている方たちに届ける「お米一握り運動」やホームレスの人たちを支援する山谷の「マリヤ食堂」への寄付活動、教会の日曜学校でのバザーの手伝い、中高部ではハンドベル部員として養護施設などで演奏活動を行いました。
これらはすべて、誰かに指示されたことではなく、自ら考え、行ってきた活動です。小学部で学んだ「あなたの隣人を愛しなさい」という聖書の教えに基づく英和の「敬神奉仕」の精神が、国連での勤務につながっていると実感しています。
国連職員は、必ずしも快適で安全な国や地域で勤務できるとは限らず、苦労も多い仕事ではありますが、プロジェクトの成果によって助けを必要としていた人たちの生活や状況が改善したという喜びの声を聴くことができた時には、やりがいを感じるとともに、自分自身も新たな学びを得ることができます。これからも、世界の女性と子どもたちの生活を守るために、国際機関で働き続けることができればと願っています。
学生時代から自ら考え、発言する習慣を
国際社会で活動したいと考えている若い人たちに伝えたいのは、「自分で考える力をつける」こと。たとえば、毎日ご飯を食べられる人とそうでない人がいるのはどうしてなのか、地球の温暖化をストップさせるために私たちができることは何なのか、といった疑問について、自分で粘り強く調べ、まわりの人とディスカッションし、自分なりの答えを見つけることを心がけてください。
そして、国際社会では必ずあなた自身の意見を求められます。相手にわかるように、自信を持ってプレゼンテーションすることに慣れておきましょう。
※記事中の所属・役職等は各記事掲載当時のものです。
