東洋英和女学院卒業部⾨
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職種
中学部 中高部 小学部 福祉・⾮営利組織系 芸能・マスメディア系 高等部大和田 美帆
東洋英和女学院小学部・中学部・高等部を卒業後、日本大学芸術学部映画学科へ。2003年より俳優として舞台・ドラマで活躍。音楽療法士・こども心理カウンセラーの資格を持ち、一般社団法人「子どもが笑えば世界が笑う」代表として子ども支援にも取り組む。
想像する力が、世界を変える 東洋英和が教えてくれたこと
目の前の子どもたちと、笑顔を分かち合う日々
2024年幼稚園児を前に。「ばくみほ」として子どもたちと一緒に歌ったり手遊びをして楽しみました。
俳優として舞台やテレビに立つ一方で、「ばくみほ」として父・大和田獏(俳優)と一緒に、病気の子どもたちや障がいのある子どもたちのもとへ歌を届ける活動をしています。もともと高校生のころからボランティアで障がいのある子どもたちに関わっていて、20代には施設に歌いに行く活動を続けていました。コロナ禍に、小児がんと闘う子どもたちへオンラインで歌ってほしいという依頼をいただいたとき、母(俳優の岡江久美子)が亡くなって意気消沈していた父を誘ったことが「ばくみほ」結成のきっかけです。父に声をかけたら「そういうことをやりたかったんだ」と言ってくれて、じゃあ一緒にやろうと始めました。活動していると「素敵ですね」と言っていただくことがあるんですが、自分たちが何かしてあげているという感覚は一切なくて、もらうものの方がずっと多い。帰りの車の中で父といつも「今日もたくさんもらったね」と話しながら帰ります。劇場でいただく拍手と、病院や施設でいただく拍手に、私は何の差も感じません。
「もしも自分だったら」が、世界を変える——IFメソッド


「ばくみほ」と並んで取り組んでいるのが演劇を通じた表現遊びのワークショップ「IFメソッド」です。「もしも自分があの人だったら」と想像することで、他者への共感力が自然と育まれます。車いすの方が段差を前に立ち止まっているとき、もしも自分だったらと考えられるかどうか。お年寄りに席を譲れるかどうかも、もしも自分がその立場だったらという想像力があるかどうかだと思っています。この想像力こそ、英和で学んだ「隣人を自分のように愛しなさい」という言葉の意味だと、私は感じています。ワークショップでは、「もしも床がプリンだったら?」「もしもサメが向こうから来たら?」と問いかけながら子どもたちと一緒に体を動かして遊びます。子どもは一瞬で世界が切り替わります。その自由さに、毎回ハッとさせられます。大人はどうしても正解を考えてしまいますが、子どもはまず動くし、感じる。そこがすごく大事だなと思っています。病院や不登校児支援の場、企業研修まで幅広くこの活動を届けていて、学校に行けなかった子が通えるようになったという声もいただいています。「ばくみほ」とこの「IFメソッド」、この2つが活動の柱です。
のびのびと部活に明け暮れた中高時代——放送部と仲間たちのこと
高校2年生、放送部の後輩と。(左)「楓祭のステージ部門で最優秀賞を受賞しました!」
今の私をつくったのは、中高時代の部活です。中1から高2まで放送部に所属して、DJ、照明、効果音と演出などそれぞれ役割を担い、みんなで一つの作品をつくり上げていました。特にお昼のDJが大好きで、台本を自分で書いて「みんなに元気を与えたいな、楽しい時間にしたいな」という思いでマイクに向かっていました。今もまったく同じことをやっているというくらい、あの経験がそのまま仕事につながっています。放送部はラジオドラマのような表現で、音だけでお客さんにイメージさせる。普通の演劇部よりも想像力を使う部活だったと、今になって思います。朝早く来ることも夏の練習も苦じゃなかった。あんなに好きなことに没頭できた青春を過ごせたことに感謝しています。数学は苦手でしたが、英語のリスニングは大好きで、できることとできないことの差が激しい子どもでした。それでいいんだと認めてもらえていたような気がします。女子校の環境の中で、男の子の目を気にせず、自然とリーダーシップを発揮できたことも大きかったです。
長い年月をかけて気づいた、東洋英和の教えが今の根っこに
高等部卒業式にて鈴木齊先生と仲間との記念写真。(右)
40代を過ぎてから、やっとあの教育の大切さに気づきました。本当に長い年月がかかってしまいました。中高部のころに体験したお米の一握り運動(生徒一人ひとりが少しずつお米を持ち寄り、全校分を援助を必要とする施設に送る活動)、六本木を車椅子でみんなで歩いた体験、障がいのある方々の作品を購入する活動——当時は当たり前のようにやっていたことが、今の自分の活動の根っこになっていたんです。そのおかげで、まず偏見がない、みんな一緒じゃないかという思いが自然と育まれていたんだと思います。マザー・テレサの話を何度も聞く機会があったことも、そういう人になりたいと思うきっかけになりました。礼拝で歌っていた讃美歌の歌詞も、今になってしみじみと良い言葉だったと感じています。「小さなかごに花を入れて…」という歌詞が、まさに今自分がやっていることだなと。見えないところで蓄積していくのが教育なんだと改めて実感しています。「隣人を自分のように愛しなさい」という言葉が、12年間の学びの中でいつの間にか自分の中に染み込んでいて今の活動そのものだと感じています。
できることに目を向けて、思いきり想像してほしい
できないことではなく、できることに目を向けてほしいというのが、一番伝えたいことです。私自身、成績は決して良くなかったけれど、表現することや音楽が好きで、そこを認めてもらえたことが今の仕事につながっています。自分のできることが必ずあるから、そこにフォーカスしてほしい。できないことをできるようにする努力も大切だけど、できることをもっともっと伸ばすことも同じくらい大切だと思っています。それから、いっぱい想像してほしい。自分の将来でも、誰かのことでも、何でもいい。想像力って、他者を思いやる力にも、未来を切り開く力にもつながるものだと思っています。大人になるほど現実を知って、諦めることを覚えてしまいます。まだ「世界はもしかしたらこうなるかもしれない」と思える今のうちに、思いきり想像の翼を広げてください。すべてを面白がってほしい。自分が生き生きと表現して生きていることが、東洋英和への恩返しになればいいなと思っています。
※記事中の所属・役職等は各記事掲載当時のものです。