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選択英語T
(放送メディア)

担当:竹下裕子


単位数
2
配当年次
1年以上
開講期間
半期
曜日・時限
前期 木曜2時限
後期 水曜2時限
    金曜4時限

《授業の目的》

 この授業の第一の目的は、英語の聞き取り能力を向上させることです。個別学習の環境が整ったLL教室において、各学生が自分のペースで、現在の聴解力を基準に目標を設定し、より高いリスニング力を身につけることをめざします。

 この目標を達成しようとする時、教材として用いる音声にはあらゆる可能性があります。TOEICやTOEFLのリスニングテストを用いても可能ですし、市販されているリスニング用のテキストとCDを用いても可能でしょう。実際に、本学の他の英語関連のクラスで、そのような教材を活用した授業が行われています。

 けれどもこの授業では、最新のテレビの二ヶ国語放送から教材を作っています。それは、この授業が、社会におけるさまざまな時事問題に対する関心を高めながら、地域社会の問題、日本が直面している問題、そして世界のさまざまな人々が抱えている問題に対する関心を高めていくことを第二の目的としているからです。

 音声と映像を通じて、毎週、異なる分野の国内外のニュースを、あるいは必要に応じた連続性を持たせて教材として提示します。わずか数分のニュースから伝わってくる内容は表面的にすぎないのですが、それを関心のきっかけとして、さらに他の授業において、あるいは各自の自習によって、さらに理解を深めていかれることを願っています。

《トピックの選択と教材作成》

 最新のニュースから教材を作るのは、そんなに簡単ではありません。基本的にはNHKの7時か10時の二ヶ国語ニュースを使っています。上で説明したような、この授業の第二の目的に合ったニュースが報道されても、あまりにも新しいニュースですと、英語の原稿が完成していない状況で、同時通訳による解説が行われますが、文字に書き表すには混乱しすぎて適当でない、あるいは、正しくない表現が用いられている場合があります。

 一刻を争う報道の現場を垣間見るという意味では、それも有意義ですが、リスニング用の教材としては、もうすこし整然としたものを求めたいと思いますので、極めて最新の話題は最小限にとどめるようにしています。教材にしたいトピックと、そのニュースで使われている英語の適正がぴったり合わないことがあるのが、悩みの種です。

 トピックが決まると、そのニュースを書き起こしていきます。起こした原稿には、必要な解説を加えて、授業の最後に解答として配布します。ニュースの性格により、日本語ではよく知っている場合、日本語でも詳しく知らない場合、など、いろいろなケースが考えられますので、解説部分にも十分な配慮が必要であると思っています。
 
 リスニング教材は、主に、フレーズやセンテンスの穴埋めという形式で作成します。授業は半期のみですから、回数にするとさほど多くはありませんが、スタート時は穴を少なめに、履修期間が終わる頃には、限りなく全文の書き取りをめざして作成しています。授業を進めるうちに、学生のリスニング力は確実に伸びていきますが、同時に興味深いのは、学生の関心の高いトピックとそうでもないトピックで、どうしてもでき具合に差が生じるということです。

 履修を希望する学生に「どんなニュースを使うのですか?」と質問されることがありますが、「毎回の授業の前日に聞いてください」としかお答えできないのです。実際、学生たちは、毎回のトピックを予測して授業に来て、「予想が当たった」とか「今回は外れた」などと言いながら、楽しく作業をしています。

 ご参考までに、2002年度に使用したニュースのタイトルを一部、ご紹介します。

現場急行支援システム(緊急車がスムースに現場に到着し、人命救助活動ができるよう、交通システムなどを工夫する試みについて)

小泉首相 東ティモール訪問

ホームスクール(登校拒否児の状況と、彼らが自宅にいても勉強できるためのサポートシステムについて)

瀋陽日本領事館

商業捕鯨再開(漁師や漁港の事情と国際世論の双方について)

日本初の電子投票

アフガニスタン副大統領暗殺

天皇皇后両陛下 日本ゆかりの人々と交流

アジア大会プサン2002 開会式始まる

アフガニスタン 米軍軍事行動1年

“女性昇格差別” 訴訟 最高裁にて和解

日朝国交正常化交渉 あす2年ぶりに再開

EU拡大

国連査察団報道官植木安弘さん

“タナゴ”インターネット販売の疑い

 そのようなわけで、教員の私も、2003年度に関して「○○や△△のニュースを教材にして授業を進めます」という事前のご説明ができませんが、連携授業に参加しているほかの先生方の授業でめざしていらっしゃるさまざまな視点から考える「共生」に結びついていくような、世界のいろいろな事象を提示することができることを望んでいます。

《英語と「共生」の問題》

 連携授業の一部である総合講座において詳しくお話しする予定でいますが、「共生」を考えるにあたって、英語という言語の持つ現代的な性格とそれが果たしている役割の重要性を認識する必要があると思っています。

 ご存知のとおり、現在、英語は世界各地でさまざまなコミュニケーションのために使われています。しかし、唯一の種類の英語が広がって使われているわけではありません。普及の過程で、さまざまなユーザーが、自分のニーズを満たすために英語を使ううちに、多様化を重ね、同時に柔軟性を伴って「成長」と「発展」した結果、現在に至っています。

 中学校、高校、そして大学の教室で勉強している限り、そのような英語の全貌や実態は見えにくいかもしれません。一口に英語と言っても、私たちが一般に思い浮かべるイメージや、口にしたり書いたりするものとは、かなり異なった種類の英語がたくさん存在し、実際に使われている現状があるため、何を指して『英語』と言ったらいいのか、必ずしも明らかでない現状があるのです。そのような状況の中、いろいろな国の人々が英語によるコミュニケーションを図ろうとする場面で、理解しあったり、誤解しあったりする状況を知り、私たちがどのように英語を使って世界の人々と意思疎通を実現することができるのか、考えていきたいと思っています。

 たとえば、英語を第二言語として使っている国の中には、多言語・多民族国家において公用語として英語を使用する国、植民地時代の影響から英語を公用語として使用する国、公用語に指定されているわけではないけれど、あるいは現在は公用語ではなくなっているけれど、官公庁や高等教育において英語を使用する国などがあります。そして、英語を国際語(外国語)として使っている国では、国内で英語を使う機会はあまりなく、他国の異なる母語や文化、社会に生きる人々とのコミュニケーションのために英語を活用している場合がほとんどであると思います。地理的に私たちと近いアジア諸国においても、英語の使途と使用の理由はさまざまでしょう。

 どこの国にも独特の言語事情があります。日本に住み、日本語を母語とする日本人同士は、特別な理由がない限り、互いに英語でコミュニケーションを図ることはありません。それでも、中学校から必修で、そして小学校の国際理解教育の一環として、私たちが英語を学習することにどのような意義があるのでしょうか。私たちはどのような目的を持って、どのような場面で、英語を活用することができ、またその必要があるのでしょうか。

 学生たちは高い英語の運用能力を身につけたいと願いながら努力していますが、日本人と英語の有意義な関係、世界のさまざまな人々との英語によるコミュニケーションの意義、その可能性と限界などを自分たちの問題として捉え、真剣に考える機会を持ち、私たちなりの答えを出すことができれば、単に短期的なスキルアップのための英語学習にとどまらず、ひとりひとりの生きかたと有意義に結びついた英語の意味が明らかになると思います。