アレズ・ファクレジャハニ女史講演会



「考えよう!イランと日本の国際関係!!」平成15年11月28日実施 3312教室


私たちは日常の中で「国籍とは何か?」「日本人であるということはどういうことなのか?」ということをまじめに考えることはあまりない。聞かれれば「日本の戸籍に籍を置いているので日本国籍の日本人である」と答えるだろうが、インターナショナルな今日にあって「国」というものの線引き、「国籍」の存在意義はあいまいだ。
本講演会では、在日のイラン人留学生であるアレズ女史の視点から見たイランと日本の国際関係はもとより、私たちがいかに日本について知らないかを知るかが課題となった。

1.学生発表(所要時間約20分)
2グループに分かれ、イランと日本の歴史的な国際関係について調べたことを発表。4年生が古代〜近代、3年生が現代を担当した。

<考えよう!イランと日本の国際関係>4年 服部圭育子
古代・中世においてはシルクロードを通じて文化的な交流が盛んであり、近現代においては石油という国益を介した関係となる。国の成り立ちの過程で、同世紀にイランではムハンマドによってイスラム教が創設され、日本では聖徳太子が冠位十二階・憲法17条を制定するなど政治的類似点が見られる。

<見直そう!イランと日本の国際関係>3年 山野辺志保
中東戦争の勃発し、石油価格の引き上げにより経済を潤すも、後にバブルが崩壊、イラン革命に至る。王制は崩壊、イラン・イスラム共和国成立。隣国イラクではサダム=フセインが大統領に就任し、領土拡大を掲げた政策を前面に押し出し、イラン革命の思想を輸出しようとしていたイランと対立、領土問題に発展しイラン・イラク戦争勃発1(1980-1988)。イランの指導者であったホメイニ氏が死去し、急進派・保守派・革命派と3人の後継者に分かれる。後にハタミ政権誕生。その後出版の自由化・社会文化に対する規制が徐々に緩和される。

2.アレズ女史講演

a.「民族」と「宗教」というイメージ
「なんとなく日本人」ということ:出生後、名前をつけ役所に紙切れ一枚で「日本人」。ただそれだけで「日本人」であると認識しているのではないか。
民族衣装:ベールをかぶっていると「イスラム教徒」。 → 脱ぐだけで「普通の人」「明るそうな人」。
イスラムの女性がベールをかぶるのは宗教上の理由だけか? → 他に、強い太陽光線から身を守るための用途もある。その気候にあった着物が民族衣装であり、そこに宗教の理由も含まれるだけである。「イスラム教徒」というイメージが先行してその人個人に対する判断・認識を狭い見解で以って決定してしまうのでは。
豚を食べない理由:ただ単に禁止されているのではなく、合理的な理由からである。
豚は排泄物まで食べてしまうため不潔、焼く必要があるが、砂漠が多いイランなどでは燃料となる木がない。火をおこすにはらくだの糞を燃やすが、火力が少なく、豚肉は十分には焼けない。つまり衛生上の理由からタブーとされているのだ。
イスラムは女性に厳しい?:世界ではじめて女性の人権を認めたのは「コーラン」である。
・父親がなくなったら財産の半分を女性も受け取れるように認めた。
・ベールをかぶればどこにだっていけるし、強制でもない。男女とも慎み深ければよい。
肌を露出できないことや髪を染められないことが哀れなのか?白人の像、容姿にイメージを支配され、洗脳されていないか?


b.文化
琵琶はどこから来たか:日本最古の琵琶は正倉院にある。これは中国から渡来してきたものであるが、それでは中国の琵琶はそもそもペルシャが起源である。シルクロードを通じて、絹・香辛料などが輸入され、楽器もまた同じく渡ってきた。証拠に、琵琶にはらくだの絵があり、また横から見ると、中東では太陽よりありがたいとされる月の形をしている。
日本の宗教・文化の根底には中国の影響があるが、さらにその根底には中東の影響もある。


c.政治とイメージ
「怖い」イメージ:イスラム教徒のテロや北朝鮮の核が怖いという。しかし日本は軍事費はアメリカに次いで世界第2位である。北朝鮮よりも性能のいいミサイルを保有しているのだが、なぜこのことを「怖い」と思わないのか?
イラクへの援助: 今イラクには30カ国以上の軍隊が援助に向かっているがその大部分はイラクの油田獲得のために動いている。


d.おわりに
イメージでだまされない。
「当たり前」を当たり前にしないで考えること。それに対して疑問を持つ。
「なんとなく」で決めない。その理由を問い詰めること。
「日本人である」という意識はどこから生まれるのか、イメージで決めてはいないかということを考える。


→  質疑応答の内容はこちら

主催企画indexに戻る