人間と社会Z 担当:与那覇恵子 (コーディネータ) 単位数 2 配当年次 1年以上 開講期間 半期 曜日・時限 月曜5時限 | 趣旨
技術革新や価値観の多様化がますます急激に進む現代社会においては、これまで文化や社会の枠組みを作ってきたさまざまな境目があいまいになりつつあります。それは、これまで社会で活躍する場を制限されてきた人々を自由にしたり、国と国・文化と文化の境界を越えた多面的な交流が盛んになって新しい価値が創造されたりする可能性をはらんでいます。しかし、そのことは同時に新しい形の差別やこれまで人類が経験したことのなかったような紛争を生み出しかねない危険とも隣りあわせになっています。人類(場合によっては生命全体)社会を構成する様々な主体が各々のアイデンティティーや価値観、あるいは生存の権利を大切にしながら、同時に他の主体のアイデンティティーや価値観、権利を尊重し、共に生きてゆくこと、つまり「共生」、が今こそ切実に求められています。 「共生」は文化や社会のどのような側面で、どのような形で求められているのでしょうか? 少し考えただけでも、「共生」には、例えば自然と人間の共生、国と国、異なる文化の間、男性と女性、障害のある人とない人……という具合に様々な広がりがあることがわかります。「共生」に関わるこれらの事柄に共通して見られる問題や特徴は何でしょうか? また「共生」の実現にはどのような困難があり、それを乗り越えるためには何が必要なのでしょうか? これらの問いは決定的なただ一つの答えしかないというものではありません。また、狭い学問分野だけを追い求めていっても答えが出ないかもしれません。 広がりのある未開拓のテーマを学部や専門分野の壁を越えて追求していったときに、何が見えてくるのでしょうか? 皆さんと共に考えてゆきたいと思います。 第1回 与那覇恵子「私たちと共生−この講座のねらい−」 第2回 池田明史 「民族紛争を共生の視点から考える−中東を中心として−」 第3回 石川 卓 「軍備管理−国際政治における共生−」 第4回 西 洋子 「ひとの原初的なコミュニケーションが意味するもの」 第5回 森 真理 「みんな違うからみんな学び合える−幼児期における多文化教育の基本−」 第6回 与那覇恵子「異なる文化を持つもの同士の共生」 第7回 三尾 稔 「異文化間共生の条件」 第8回 竹下 裕子「英語を共通語としてめざす共生−その可能性と限界−」 第9回 下坂 英 「人間が絶滅させた動物たち−環境との共生−」 第10回 パルネディスカッション 第11回 長谷川かおり「『共生』を可能にする資源配分システムの形成と生成」 第12回 岡 伸一 「共生と福祉国家」 第13回 野口晴子 「公共経済学の視点から考えるバリアフリー化」 第14回 試験 初回の講義で、この講座で使用するテキストを配布しますので必ず出席して下さい。 |