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東洋英和女学院大学付属 かえで幼稚園
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保育だより 3月号

 
 
   
 

それぞれの春に ―これまでそしてここからの一歩一歩を支えられて―

ブランコの裏にある白梅が2月半ばより咲き始めました。子どもたちと歌っている『もう春だ』(詩:夢 虹ニ・曲:中田 善直)の「風が冷たく吹いてても もう春だ春だ 庭先にちらちら咲いた梅の花 花の光がもう春だ〜」という歌詞にぴったりの光景がそこにあります。
 そしてこの季節の子どもたちの姿に、新しい春がやってくることを感じさせられます。一人ひとりの落ち着いたまなざしにも、和やかで穏やかな交わりにも、なかまで協力し夢中になって躍動している様子にも・・・・心の奥底から、「この子どもたちと一緒にいられて幸せ」と思っている私です。
 ある昼下がり、私はジャングルジムの前に居た永瀬先生に伝言をしに行きました。しゃべっていると年少組のAちゃんが無言でぎゅーっと私の手を引っ張ります。『どうしてだろう?』・・・私たち大人は子どもの行動の理由をあれこれ想像し理解しようとします。私はこれまでのAちゃんを思い、「ごめんなさい。永瀬先生とお話したかったのね。ちょっと待っていてね」と言いました。(以前のAちゃんは、自分が話したい大人が他の者が話しているのが嫌で、よく怒って引き離そうとしていたからです。)Aちゃんは、「ちがうよ」と言いました。そして続けて「先生とかけっこしたいの」と言いました。意外でした。まずこのところ私はかけっこなどしていませんでしたし、Aちゃんが私を遊びに誘うことがなかったからです。「私と?私でいいのかしら?」と問うと、「そうだよ、かけっこしよう」と答えます。私は喜んで「いいわよ、かけっこしましょう」と、Aちゃんの手をとって桜の木の下へと歩きました。歩きながら、「永瀬先生と走りたかった?」と聞いてみました。するとAちゃんは、「あのね、永瀬先生は今Bちゃんたちとジャングルジムで電車ごっこをしているんだよ」と言います。『永瀬先生が電車ごっこしていて仕方ないから大漉先生を誘ったの』という感じではなく、とても楽しそうに、電車ごっこのことを説明していました。その後、私はAちゃんと何度も何度もトラックを走りました。そこに年長・年中・年少の子どもたちも入ってきて、やがて年長の子どもたちのなかまの一人として、自分の順番がくるのを待っては喜んで走っていました。
 1年前は、お母さまと離れるのが不安で泣き、保育者から声をかけられると硬くなり、自分のすぐ目の前のことだけを見ていたようなAちゃんでした。しかし今、安心して自分で立ち、周りを見渡し、やりたいことに向かい、そこでの関わりを楽しんでいる姿に、私は『うん、うん』と、うなづいていました。この1年の間、お家の方にも担任にもAちゃんの育ちを信じて待つ物語がありました。神さまはAちゃんの成長を助ける周りの大人たちをも愛して支えてくださっていました。
 Aちゃんだけではなく、どの子どもにとっても、その1日1日は大きいものでした。子どもたちは、生活や遊びの中で、行きつ戻りつの過程を通り、自分らしさをもって物や人と関わりあう時間を重ねてきました。ちょっと背伸びしたり飛躍する時もあれば、くじけそうになったりやり直しする時もありました。友だちと心通わす楽しさも、ぶつかったり離れたりする痛みも味わいました。その体験の中で得た感覚(感性)や習得した技やコミュニケーションの力を携えてここからまた一歩ずつ進み、育まれていく子どもたちです。
 特に、年長組の子どもたちにとって、神さまと多くの人に大事に愛され、主体的に協調性をもって夢中になって遊んだことが、今後新しいことに心動かして学ぶことや、自分を肯定し他者を愛することの力の源となっていくと信じます。 かえでに居る数年間、子どもたちの生活の中に礼拝がありました。そこで受け取った「だいじょうぶ、神さまが愛してくださっているから。だいじょうぶ、いつもイエスさまが一緒にいてくださるから」というメッセージが安心と希望の根拠となって子どもたちの生涯を支えていくと信じます。
 子どもも大人も、神さまと人に支えられた一年でした。これからもきっとそうです。
 保護者のみなさまには、毎日の送り迎え、お弁当作り、保育への参加、そして父母の会活動としての様々なボランティア・・・・お子さんを、そしてかえでの子どもたちを、ともに愛し、園を理解し協力していただきました。つながりあって互いに育み育まれることができたこの一年を、感謝します。

        「わたしは植え、アポロは水を注いだ。
                しかし、成長させてくださったのは神です」
                         コリントの信徒への手紙T 3章6節

                                                          大漉 知子