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東洋英和女学院大学付属 かえで幼稚園
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保育だより 10月号

 
 
   
 

「あの時」となる「この時」

かえで幼稚園の中でよく見られる光景ですが、ティッシュペーパー等の箱に紙で動物の顔を作って貼り、それにひもをつけ引っ張って散歩している子どもたちがいます。大人が作品として見てしまえば、空き箱そのものであり、とても素朴な顔であり、「作ったのね・・・」と感じるだけのものかもしれません。ですが、子どもには、自分の手から生まれた存在であり、語りかけたり守ったりしたくなるような大切な相手になっています。降園時に園に置いていくなどとてもできずに引きずって家に連れ帰り、翌朝また園に連れて来るという子どももいます。
 庭の片隅では、小さな手の中で砂や土のかたまりをまるめては撫でて作ったどろだんごを大事に持ち歩き、しゃがんでは砂をかけ、またまるめることを繰り返している子どもがいます。また木工室では、時間をかけてのこぎりで切った一枚の板きれに、何十分も(時には何日も)かけてやすりをかけている子どもがいます。いずれも、自分で「これで良し」と納得したり満足したりするまで、楽しみやり通す姿には深い集中力と共に幸せを感じさせられます。
  私にとっては、それが子どもの時であり日常の姿なのですが、時おり見える国内外からの見学者からは、この時間を守られていることと、子どもたちが自分の遊びに落ち着いて没頭している姿に毎回驚きと喜びの感想を寄せられます。9月にいらした方は、そのことを『信頼』というひとことでまとめていらっしゃいました。
 「大人から、その存在そのものを大事にされ信頼されている子どもたちが、大人を信頼し、今日という日を信頼し、自分を信頼し、まわりと関わりながら生きている」ということばでした。私は、「どの子どもにあってもそうであるように」と謙虚に願いをもちながらも、そのことばを保護者の方々と共に誇りをもって受け止めたいと思っています。子どもの生涯の根っこになると信じられることだからです。
 7月の夏まつりの夕方、二十代後半になる卒業生のお母様から呼び止められ、「先生、家の○○は他の皆さんよりはすごく時間がかかりましたが、好きだったことの延長でひとつの学問を深め、この春社会に出ました。満足するまでひとつのことを楽しんだ幼稚園でのあの時があったからです。私は、幼稚園で答えを急がずに待つことを教えられました・・・」とのお話をいただきました。

 「あの時があったから・・・」と思えるような「この時」を、一人ひとりを愛し守って下さる主に信頼し、ご家庭と一緒に時にかなった関わりや支えをしながら歩みたいと思います。


 「わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです。」

                                        コリントの信徒への手紙4章18節


                                                                 大漉知子