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保育だより 6月号

 
 
   
 

うしろすがた

5月のある朝、私はいつものように門で登園時のお迎えをしていました。「おはようございます」「おはようございます」と次々と親子が保育室に向かって歩いて行きます。すると、その中のひとりの母がすーっと玄関脇の受付窓口に向かって行きました。母は静かに「Aちゃんも、こっちにね」と呼びました。その時のAちゃんの足取りがちょっと重く見えたのは『早く保育室に行って遊びたいのに…』と思っていたからではないかと思います。私は何の気無しにその二人を見ていましたが、やがて心が動かされていくのでした。(おそらく母子は私が見ていたことを知らなかったでしょう。)
 母は子どもの背丈よりも高さのある受付カウンターから両手で丁寧にひとつの箱をおろし、手前に置いてあった台の上にのせました。そして少しの間(私には2分ぐらいに感じました)Aちゃんに語りかけていました。私の居る場からは母の後ろ姿とAちゃんの横顔しか見えず、何を話しているかは全く聞こえませんでした。母の一言ひとことを、うなづきながら聞くAちゃんの表情は真剣でした。そこだけ周りと離されたような特別な空気に包まれていました。それから母とAちゃんは、いっしょに一枚の封筒を箱の中に入れました。母はAちゃんに微笑みかけてからそっと箱を元通りカウンターの上に戻しました。そして二人は手をつなぎ、ゆっくりと保育室へと向かいました。二人の顔は、なんとも穏やかでした。
 その箱は、熊本・大分地方地震で被災された方を覚えての献金箱でした。キリスト教保育連盟を通じて、被災地のキリスト教保育の場の働きために用いられることを祈っておささげする献金でした。多くの方がご協力くださったので、他にもこのような姿があったかとも思いますが、私の目にとまったひとつの光景でした。
 私はAちゃんの母の後ろ姿に、子どもに大切なことを伝えようとする親心と、他者を思っての祈りの心を感じさせられました。『Aちゃんの心の中には、母の暖かく丁寧な後ろ姿がひとつの生き様としてこの先ずっと残るだろうな…』と思いました。
 小さなひとこまにはっと心動かされたのは、私自身がこのような後ろ姿を子どもたちに示すことをしているだろうかと、ふりかえさせられたからです。 心に残る朝でした。

 <聖書のみことば>
    『(神に)愛されているのですから、憐みの心、慈愛、謙遜、柔和、寛容を 身に着けなさい。 』
                                            コロサイの信徒への手紙 2章12節


                                                         園長 大漉 知子