東洋英和女学院大学死生学研究所 

 「学際的」な教育と研究を目指して1989年に開設された東洋英和女学院大学には、多くの分野から教員が集められています。この大学の特徴をいかして2003年に設置された死生学研究所は、「学際的な死生学」を目指して活動を続けてきました。主な活動は2004年度以来毎年開催されている公開講座と『死生学年報』(リトン)の出版です。死生学の多方面におよぶ活動のなかから、多くの分野が並列的にあるのではなく、いくつもの異分野の出会いから、立体的な広がりをもって新たな問題群が立ち現れてくることを体験してきました。そして新たな問題群に対して様々な角度から取り組みながら、さらなる出会いを目指す「総合学としての死生学」を改めて目標として掲げるようになりました。
 2011年3月11日の東日本大震災によって、死生学は新しい局面を迎えています。突然の災害で多くの人々が亡くなり、多くの人々が苦しみのなかにあります。また同時に多くの人々が支援をしようと立ち上がっています。このような状況下で人間の生と死の問題を真剣に考えてゆくことは、これまで以上に必要とされることでしょう。死生学研究所も本年度以降の活動に一層の力を注いでまいりますので、多くの方々のご指導ご協力をお願いたします。
    
                                        2011年4月
                                                 東洋英和女学院大学死生学研究所
                                                                所長 渡辺和子

 

『死生学年報2011 作品にみる生と死』発売のお知らせ

東洋英和女学院大学死生学研究所編
『死生学年報2011 作品にみる生と死
リトン、 2011年(3月31日刊)

書店にて定価2,500円+税でご注文、ご購入いただけます。

<お問合せ先>
東洋英和女学院大学・死生学研究所
shiseigaku@toyoeiwa.ac.jp(メール)

<目次>
金子みすゞの作品と生涯にみる生と死
―分析心理学の視点から―
福田 周

熱情と冷静さ
―歌人長塚節は結核をどう生きたか―
松岡秀明

医系文学でたどる死生観の変貌
―昭和から平成へ―
藤尾 均

ケースで考える臨床現場の倫理
服部健司

夢分析で語られる<死>について
前川美行

ヒルデガルト・フォン・ビンゲン
―幻視と生きる―
鈴木桂子

ギルガメシュの異界への旅と帰還
―「英雄」と「死」―
渡辺和子

江戸の墓と家と個人
谷川章雄

伴侶を亡くした男性の二事例
―緩和医療現場での学び―
奥野滋子

“不死”のインド宗教史
―密教の成就者たちの“不死”の死生観―
杉木恒彦

死後の生
―死生学における<宗教の領分>―

鶴岡賀雄 



死生学研究所
東洋英和女学院大学 2011年度連続講座・シンポジウム

<公開> 生と死とその後

 死生学研究所では「生と死とその後」を年間テーマとして公開講座をおこないます。どなたでもどうぞご自由にご参加ください。
 連続講座・シンポジウム全15回のうち10回以上ご出席の方には修了証を発行いたします。

2011年 4月
東洋英和女学院大学 死生学研究所所長
                        渡辺 和子

■会場 東洋英和女学院大学大学院201教室(第3回連続講座以外)
六本木駅  (日比谷線 徒歩10分)
麻布十番駅(大江戸線 徒歩5分)
参加費 連続講座各回500円・シンポジウム各回1,000円(本学院在校生・教職員は全回無料)
事前申込不要 ■当日先着順100名
■問合せ先
東洋英和女学院大学・死生学研究所
〒106-8507 東京都港区六本木5-14-40
03-3583-4035(Fax専用)
shiseigaku@toyoeiwa.ac.jp
       
日程(土曜日)30分前から受付開始
発表者
所属

題  目

2011年
4月23日

14:40〜
16:10

第1回
連続講座
村上陽一郎
本学学長
死後の世界 ― 一(いち)キリスト者として ―
4月23日
16:20〜
17:50
第2回
連続講座
西 洋子
本学人間科学部教授
「DUAL」存在を伝え合い・表現を創り合う

15:00〜
16:30

第3回
連続講座コンサート

河野和雄
+中高部合唱部
本学院オルガニスト

オルガンと合唱による「慰めの音楽」フォーク/レクイエムより、ギ・ボヴェ/スヴィニー組曲(映像付)他 会場:新マーガレット・クレイグ記念講堂(本学大学院隣)

奥野滋子
順天堂大学医学部先任准教授
「死んだらどうなるか」 ―医療現場での問い― テーマ
「死者のゆくえ」
高井啓介
慶応大学言語文化研究所非常勤講師/本学生涯学習センター講師
古代イスラエル社会の死者のゆくえ ―その多様性―
下田正弘
東京大学大学院人文社会系研究科教授
仏のもとに生まれる
矢吹和美
本学人間科学部教授
想像力のもたらす死と再生の体験

14:40〜
16:10

第5回
連続講座

久保田まり
本学人間科学部教授
対象の喪失と内なる再生―愛着の彼岸―
10月29日
14:40〜17:50
(財)国際宗教研究所・共催「生と死」研究会第10回例会シンポジウム
小川有閑
国際宗教研究所研究員
自死者と遺族の対話 テーマ
「生者と死者の交流」

西尾温文

順天堂大学医学部附属順天堂医院がん治療センター臨床心理士
親を亡くした子との交流
棚次正和
京都府立医科大学大学院医学研究科教授
スピリチュアルケアと人間の存在構造
11月12日
14:40〜
16:10
第6回
連続講座
藤原達也
本学非常勤講師
生ける遺影 ―ガンダーラにおける仏像の起源をめぐって―
16:20〜
17:50
第7回
連続講座
細田あや子
新潟大学人文学部准教授
東西文化にみる絵解きの死生観
11月26日
14:40〜
16:10
第8回
連続講座
箕岡真子
東京大学大学院医学系研究科医療倫理学分野客員研究員/箕岡医院内科医師

認知症高齢者の看取り

16:20〜
17:50

第9回
連続講座
佐藤雅彦
大正大学非常勤講師/浄心寺住職
また会える「さようなら」 ―末期がん患者との出会いから―
2012年
1月21日
14:40〜
16:10
第10回
連続講座
Miriam T. Black
本学人間科学部准教授

Education for Life and Beyond(「生とそれを超えるものの教育」発表は英語、日本語訳あり)

16:20〜
17:50
第11回
連続講座
渡辺和子
本学人間科学部教授
変容過程の神話・儀礼・美術
2月18日
14:40〜
16:10
第12回
連続講座
鈴木桂子
玉川大学非常勤講師/本学生涯学習センター講師
ニクラウス・マヌエルの現実と死後を見つめる眼
16:20〜
17:50
第13回
連続講座
深澤英隆
一橋大学大学院社会学研究科教授
哲学的主題としての死後生の問題
<2011年4月23日作成>