人間科学部/人間科学科
福田 周教授病跡学的アプローチによる創造性の意味と精神病理の意味について
描画療法の体験を通したこころに向き合う臨床心理学的視点について
人間のさまざまな営みは、単にその行動の結果や外的要因だけに目を向けていても理解できないことが多い。人間の営みへの理解は、外側に現れた現象と人間の内的プロセス、つまりは心の営みとの相互交流という視点を通して考えてみるとより豊かな理解が生まれ、それを通して他者や社会との新たな行路が見つかることもあります。臨床心理学的視点とはそうした外界と内界とを行き来する視点であり、心理療法はまさにこの視点を通して行われます。この演習では、臨床心理学における心理療法の基礎的な理論を学び、さらに非言語的アプローチの技法として描画療法を中心にその実際を体験して、臨床実践における共感的態度や自己内省を深めていきます。 卒業研究論文は、臨床心理学や病跡学的視点を用いた心理療法や対人援助に関連するテーマを各自取り上げていきます。
『絵本の臨床活用についての一考察-絵本を用いたプリパレーションの実例を通して-』
『喪失体験からの回復の一考察-ペットの喪失体験を通して-』
『愛着と充実感の関係-青年の養育スタイル認知は動機づけと充実感に影響を与えるか-』
『自己愛とテレビゲームの関係性について-空想力を通じて-』
『「自閉症」の子を抱えて-取り巻く環境と課題-』
『幼児期からみる自己愛性人格障害-三島由紀夫の障害を通して-』
先生が熱心に細やかな指導をしてくださるので、求めれば求めるだけ学びを深める機会があるゼミです。とことん付き合ってくださいます。しかし、序盤は学びたいことを明確にするのが難しいものです。そのため、臨床心理に関するさまざまな素材を先生が教えてくださいます。これによって、私は臨床心理の知識を徐々に吸収していくことができました。全体的に雰囲気が良く、笑いの絶えない活気のあるゼミだったと思います。 また、大学院進学を考えている場合は、相談すれば具体的な勉強法などのヒントをいただけます。(2010年度ゼミ生)
前期は主に絵画療法の実践を通して解釈や分析方法などを丁寧に学び、その際グループワークという形をとることにより集団における作業分担、また卒業論文に必要なスキルとしての資料集めの力を身につける訓練をします。 さらに後期では、卒業論文の書き方の詳細な指導が中心となり、早いうちからテーマ決め、発表を繰り返すことにより、厚みのある論文を書く技術を高められます。(2012年度ゼミ生)
私は大学院進学を希望しており、臨床心理学の中でもバウムテストなどの描画療法に関心がありました。ゼミでは自分たちで実際に描画を描き自ら解釈をしたり、事例研究の論文を読んでゼミ内で意見交換などをします。3年生後半から卒業論文の準備に入り、福田先生からマンツーマンでアドバイスをいただいたり、ゼミ内で論文の途中経過の発表、ゼミ生同士での論文情報の共有や意見交換をする機会は多く設けられていて、実のある研究ができるようになっています。(2012年度ゼミ生)