人間科学部/人間科学科
篠原 道夫教授今日、心理療法への関心は、日々に高まっています。残念ながら、心理療法は、とても誤解されやすい心の仕事です。現状では、心理療法に対して過大な幻想や非合理な恐れが抱かれがちです。私は心理療法を生活の中心に置いて生きていました。また、心理療法について学生に教えてきました。私は、心理療法という仕事において、私が何をしようとしており、何をしているのかを理解して欲しいと心から願っています。 心理療法の仕組みそのものを学ぶのみならず、心理療法という道具立てを通して見えてくる心の世界(すなわち、深層心理の世界)についても学んで欲しいと願っています。ノイローゼの症状、夢、子どもの遊びなどは、正常心理と連続性を持っています。一見すると奇異にみえる現象の中にこそ、むしろ人間の本性が明確に浮かび上がってくるのです。
具体的には、①基本文献の講読と②事例研究の二つを軸にして展開しています。まず、①前期の文献購読では、精神分析的人格理論(自我、イド、超自我)、発達理論(口唇期からエディプス期へのリビドー発達)、さらに性格形成論と精神病理学の基礎について学びます。後期は、心理療法過程(解釈、抵抗、転移など)について扱います。②事例研究では、統合失調症、自己愛人障害、二重人格、虐待、中年期クライシスなどの多様な臨床事例を扱いつつ、遊戯療法や箱庭療法などの臨床技法についても学びます。このような形で、心理療法の基本的な仕組みについて学び、臨床心理学の基本概念を身につけていきます。そして、心理療法を通して表れる深層心理の世界について探求します。その成果を踏まえて、卒業研究につながる自分の研究テーマを明らかにしていきます。自分のテーマをつかまえることは、そのまま自分を知ることだ、と思います。 心理療法は、スポーツのようなものです。頭で理解しているだけで、実技ができなければ何にもなりません。心理療法におけるもっとも大切な道具は、自分の心です。そのため、自分の心を見つめること、自分の心を鍛えることは、とても大切なことです。そこで、③箱庭の制作体験や④合宿形式での「ファンタジーグループ」など、自己経験を通した体験学習も実施しています。
・「自己愛人格者の事例研究―ロールシャッハ法を通して」
・「元型的象徴目録を用いた普遍的無意識の実証的研究」
・「ユングのタイプ論から見た攻撃性の表出スタイルの研究」
・「信仰における啓示的な夢」
・「きょうだい関係とカイン・コンプレックス―言語連想検査をとおして」
私は、臨床心理系の大学院に進学したいと思っています。篠原ゼミでは、専門の知識や英語を少人数で勉強しています。皆それぞれ自分が研究したいテーマで卒論に臨んでいます。先生の卒論指導は的確でとっても丁寧なので助かります。(akkokko)
子どもの心理療法、プレイセラピーに興味がありました。先生は面倒みが良く、臨床心理士志望の学生に勉強会を開いてくれたり、質問には率直に答えてくれます。勉強会は少人数で、たまに脱線しておしゃべりをしたり、授業ではない交流ができると思います。(Plane)
私は以前から大学院に進学し、臨床心理士になる事を希望していました。その際、臨床心理学を基礎的な所からしっかりと学ぶ点や院試に向けての自主ゼミや合宿等にも力を入れてる点に大変魅力を感じ、篠原ゼミを選びました。ゼミでは、少しでも疑問に思った点は難なく質問出来る雰囲気にあります。またそれに対し先生も大変わかりやすく、そしてプラスアルファの面も教えて下さる点が大変勉強になります。ゼミ以外の事でも様々な相談に気軽にのって下さるため、勉強以外の事もサポートして下さる点も大変助かっています。自主ゼミは四年生の方々と一緒に行うので最初は知識の差に戸惑いましたが、大変良い刺激となると思います。また三四年合同のゼミコンパは、大変楽しめますし就職希望の方も大学院進学されている方も先輩方にアドバイスを聞ける良いチャンスとなっています。(J.H)
私は1・2年の頃にボランティアを通じ子ども達と関わったことで、将来もそのような子どもに関わる心理職に就きたいと思っています。篠原ゼミでは、セラピーに関する基本的知識だけでなく、これから専門分野を研究していくにあたって非常に参考になる資料に触れることができます。また、自主ゼミでは普段の授業とは違った話を聞くことができ、楽しみながらも勉強になります。初めは、ゼミの学習スタイルに少し戸惑いましたが、今では皆意見を出し合いながら積極的に授業に参加しています。(遊牧民)