タイトル画像:大学概要
大学概要

学長室から

2024年度 大学9月卒業式式辞

 卒業生の皆さん、ご卒業、おめでとうございます。本学で所定の単位を修得され、学士の学位を取得され卒業される皆さんのご努力に対し、心からの敬意を表し、教職員を代表してお祝い致します。本日の卒業の日までお嬢様の勉学と大学生活を力強く支え、励まして来られたご家族、ご親族の皆様、お喜びはひとしおと思います。心からの祝意と感謝を申し上げます。また、こうして箕口学院宗教部長の司式の下、大学教職員が列席して、厳かに本日の卒業式を挙行できますことは、私にとってもこの上ない慶びであります。指導をされてきた先生方にも、深く感謝申し上げます。

 さて、卒業生の皆さん、今日の良き門出の日に、東洋英和女学院大学での学生生活を振り返ってみて、どうでしたでしょうか。充実していましたか。一生懸命勉学に励みましたか。ゼミ活動や部活、そして地域活動は如何だったでしょうか。もしかしたら、それ以外の好きなことに忙しくて、勉強や課外活動は少し力を抜いてしまった、という人もいるかも知れません。本学での数年間は新型コロナウイルス蔓延のため何かと制限が多く、窮屈なことを強いられたと思います。しかし、そのような環境の中で、皆さんは、東洋英和女学院大学で研鑽を積み、知識とスキルを身に付け、教員・職員とたくさんの良い経験や体験を共有し、また、かけがえのない友達を作り、友情を育みながら、思い出をいっぱい作って、こうして有終の美を飾ることができました。

 大学卒業は、人生における大きな節目の一つです。皆さんは今日、卒業証書・学位記を手にされます。皆さんがこれから書く履歴書には、東洋英和女学院大学を卒業し、人間科学あるいは社会科学の学士の学位を取得したという新しい項目が加わります。どうか、東洋英和女学院大学の卒業生であることに誇りを持ち、本学で学んだこと、身に付けたことを基礎とし、また出発点として、一層の研鑽を重ねていただきたいと思います。

 皆さんの大学生活も今日で終わりとなります。明日からは、授業やゼミで当たり前のようにしていた「みんなで集まる」ということはなくなります。しかし、大学を離れても、大学のことは忘れずに、英和の卒業生OGとして、いつまでも母校を思い、大切にしていただきたいと思います。皆さんの母校である東洋英和女学院大学の先生方、職員との連絡を絶やさないようにしてください。良いこと、嬉しいことはもちろんですが、困ったこと、悩んでいることがあったら、卒業後も連絡をし、また相談をして欲しいと思います。ラインやメール、ショートメッセージでも良いので、アドバイザーだったゼミの先生、親身に指導して頂いた教職員に、元気な様子、元気にやっているよ、ということを報告してください。そのひとことが、皆さんを送り出した私たち教職員にとって、この上ない喜びとなります。

 卒業は、日本語では、「学業を終える」、「勉学が終わる」ということを意味します。一方、英語で「卒業」は二通りの言い方があります。一つは、皆さんも知っているgraduationです。graduationは、gradeを終える、課程を修了する、学位を取得するという意味です。そしてもう一つは、こちらの方がより一般的に使われている言葉ですが、commencementと言います。commencement、つまり「始まり」、commenceは「始める」という意味です。こちらは、卒業は終わりではなく、次のステップに進む「始まり」「スタート」だということを表わす言葉です。 卒業式の今日、恐らく皆さんはgraduationの「終わり」の方をどうしても意識されるので、commencementの「始まり」は実感できないかも知れませんが、卒業は人生の中で「次の新しいステップに向かう始まり」ということを、この卒業式の今日、思いを新たにして欲しいと思います。新しい人生へのステップに向けて、東洋英和女学院大学での勉強や活動、経験、体験、友達との親交等が皆さんの中で大きな糧となり、バックボーンとなると期待しています。

 東洋英和女学院大学は、皆さんより先に学び卒業していった16千人を超える先輩達が、日本国内はもとより、世界各地で活躍しています。皆さんは、今日からその卒業生の仲間入りをします。東洋英和女学院大学で学んだこと、経験したことを十分活かして、そして本学の卒業生であることに誇りを持ち、胸を張って、実りある豊かな人生を切り拓いていって欲しいと思います。

 皆さんは今日から、東洋英和女学院大学の学生でなくなります。最初のうちは、これで、取得する単位のことを心配しなくても済む、朝早く起きて電車やバスに揺られて大学に行かなくていい、お小遣いを貯めるためのアルバイトをしなくてもいい、とほっとした気持ちになるかも知れません。しかし卒業後の実社会は学生であった時よりもずっとずっと厳しい、大学での学びとは異なる新たな挑戦が待ち受けていると思います。仕事に就くと、もちろん、嬉しいこと、楽しいこともいっぱいありますが、それ以上に、辛いこと、くやしいこと、困難なことにたくさん直面するだろうと思います。しかし、大学で培った知識と経験、そして何よりも困難を乗り越えてきた強い意志と勇気を持ってすれば、必ずや直面する壁を乗り越え、新たな道を切り開いていけるはずです。本学で、苦手な科目でも一生懸命勉強をしたこと、教員の指導を受けゼミの仲間と一緒に頑張ったこと、アルバイトで睡眠不足の中、眠い目をこじ開けて講義を聴いたこと、などを思い出して頂きたいと思います。

 そして、今日、特に卒業生の皆さんにお伝えしたいのは、これからの人生の中で、今まで以上にいろいろな「選択」を迫られる、ということです。東洋英和女学院大学に入ったのも皆さんが選択したことです。卒業後に皆さんが進む就職も進学も、皆さんがそれぞれ良し、と考えて行った選択です。まさに人生は選択の連続と言えます。英和の卒業生の皆さんはもう分かっていると思いますが、人生は他人から与えられたり押しつけられたりするものではなく、自分の選択と行動で作り上げるものです。どうか、東洋英和女学院大学で学び身に付けた知識や経験、体験、考え方、協働力を活かして、常に良かれと思う賢明な選択をし、歩んでいってください。どちらに進むべきか、選択に迷うことも多く出てくるでしょう。そんな時は一人で悩むことなく、回りの人からアドバイスを得てください。そして、一旦自分が選択したら、その選択に後悔することなく、必ず結果を出すのだという気持ちで行動してください。仮にその選択が失敗に終わったとしても、失敗から学んで、またチャレンジすれば良いのです。立ち直れないような失敗はそうそうあるものではありません。それに、皆さんは本学でレジリエンス、しなやかな回復力、失敗しても立ち直る力、を学びました。どうか、賢明な選択を続けて、時には失敗しても、そこから立ち直って、ご自身で選んだ、皆さんそれぞれの人生行路を、面舵いっぱいで、歩んでいって頂きたいと思います。

 本学では、9月卒業生に対して、バラの花を卒業証書・学位記とともにお贈りしています。花の贈呈は東洋英和女学院の慣行で、その起源は戦前まで遡ります。バラの花言葉には「上品」「気品」「輝かしい」などいろいろあるようですが、今日のこの場の皆さんにもっともふさわしい花言葉は「誇り」であろうかと思います。皆さんは、バラの花一輪に込められた「敬神奉仕」の建学の精神と、「誰かのために、まず私から始めましょう」の英和スピリッツのスクールモットーを、どうか忘れないで頂きたいと思います。それこそが、先行きが見通せず、複雑化する世界に向かって船を漕ぎ出そうとされる皆さんの力強いサーチライトになり、また羅針盤となって支えてくれるに違いありません。

 今日のこの卒業は皆さんにとって東洋英和女学院大学での最後の日ですが、同時に、次のステップへの「始まり」「スタート」です。面舵いっぱいで力強くご自分の船を進めていってください。強い意志と高い志を持ち続ける皆さんの人生が、喜びと希望に満ちたものであることを心から願っています。卒業生の皆さんと本学との絆がこれからもしっかり結ばれる続けることを祈念して、また皆さんの未来に、限りない栄光と幸福が訪れることを心よりお祈り申し上げて、私の卒業式の式辞と致します。あらためて、本日はご卒業おめでとうございます。

 

2024921

東洋英和女学院大学
学長 星野三喜夫

おすすめコンテンツ