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大学概要

学長室から

2022年度 大学卒業式式辞

 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。本学で必要な単位を修得され、本日めでたく卒業される皆さんのご努力に対し、心より敬意を表し、教職員を代表してお祝い致します。また、皆さんの大学生活を力強く支えてくださったご家族、関係者の皆様にも心から祝意を申し上げたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症のために大学の行事はこの3年間、何かと制約を受けていましたが、本日、この卒業式は、マスク着用を個人の任意、個々人の判断に委ねる形で開催できる運びとなりました。もちろん感染防止を施した中ではありますが、このような状況下で、厳かに、皆さんとこの晴れの儀式をお祝いできますことを、大学を代表し、お慶び申し上げます。

 さて、皆さん、東洋英和女学院大学での学生生活は充実したものでしたか。一生懸命勉学に励みましたか。ゼミ活動や部活、そして地域社会活動は如何だったでしょうか。この三年はコロナ禍で何かと制限が多く、窮屈なことを強いられ大変だったと思いますが、そのような中でも、東洋英和女学院大学で研鑽を積み、知識やスキル、資格を身に付け、教員・職員とたくさんの経験や体験を共有し、また、かけがえのない友達を作り、友情を育みながら、良き思い出をいっぱい作ったのではないかと思います。

 大学卒業は、人生における大きな節目の一つです。皆さんは今日、卒業証書・学位記を手にされます。皆さんがこれから書く履歴書には、東洋英和女学院大学人間科学部/国際社会学部の課程を修了し、人間科学/社会科学 学士の学位を取得した、という新しい項目が加わります。東洋英和女学院大学は、皆さんより先に学び卒業していった1万6千人を超える先輩達が、日本国内はもとより、世界各地で活躍しています。皆さんは、今日からその卒業生の仲間入りをします。東洋英和女学院大学で学んだこと、経験したことを十分活かして、そして本学の卒業生であることに誇りを持ち、胸を張って、実りある豊かな人生を切り拓いていって欲しいと思います。

 皆さんの大学生活も今日で終わりますね。明日からは、授業やゼミで当たり前のようにしていた「みんなで集まる」ということがなくなります。しかし、大学を離れても、大学のことは忘れずに、卒業生として、いつまでも母校を大切にしていただきたいと思います。皆さんは、母校である東洋英和女学院大学の先生方、職員との連絡を切らさないようにしてください。良いこと、嬉しいことはもちろんですが、困ったこと、悩んでいることがあったら、ぜひ連絡をし、また相談をして欲しいと思います。一年に一度、年賀状くらいはと思いますが、皆さんは年賀状を書かない人かも知れないので、LINEでメッセージを送って、あるいはショートメールでも良いので、近況を報告するようにしていただきたいと思います。私たち教職員は皆さんが卒業した後も、ずっとこの東洋英和の横浜の森のキャンパスでスタンバイしています。それから、四年間一緒に過ごした学友とは今日以降、頻繁に会えなくなります。学友は一生の宝です。どうぞ大切にしてください。 

 卒業生の皆さん。明日からは、本当の意味での社会人として、それぞれが選んだ場所で、それぞれの人生を歩むことになります。四年前の高校の卒業式では、校長先生やクラス担任、あるいは進路指導の先生から、「これから行く大学で、自由な時間を謳歌し、部活や勉強に一生懸命に励んでください」と言われて送り出されたと思います。四年後の今日の大学の卒業式では、「これで楽しかったその四年間が終わり、厳しい社会に出ていくのだ」ということを言わなければなりません。しかし、雛が巣だって自分で餌を採りに行くように、これまで親や保護者に養ってもらっていた半人前の存在から独り立ちする大人になるのですから、これはとてもめでたいことであり、人生のこの門出を大いに祝いたいと思います。 

 本日の卒業に当たり、私から卒業生の皆さんへのエールとして、南アフリカ共和国のネルソン・マンデラの言葉を贈りたいと思います。ネルソン・マンデラ氏は南アフリカ共和国の政治家であり、弁護士ですが、黒人差別に反対する反アパルトヘイト運動に身を投じ、国家反逆罪で終身刑の判決を言い渡された人です。そのマンデラ氏は、27年間の獄中生活を耐え抜いて、のちに同国の大統領となり、ノーベル平和賞も受賞しました。そのネルソン・マンデラ氏の言葉です。それは、「成し遂げたことで私を判断するのではなく、失敗して立ち上がった回数で私を判断して欲しい」という言葉です。今日のこの卒業式の餞の言葉として、卒業生の皆さんにこの「成し遂げたことで私を判断するのではなく、失敗して立ち上がった回数で私を判断して欲しい」という言葉を贈ります。何かに失敗しても(おそらく、これから皆さんは、私がそうであったように、数多くの失敗を重ねると思いますが)、その時は、その失敗を糧にして、立ち上がってください。人生は、道中に山もあり谷ありです。その道中で、悩んだり、失敗したり、ヘマをして落ち込んだり、心が折れそうになったりしたとしても、くじけず、負けずに、失敗を糧として立ち上がってください。そして、もう一つ。困難な時こそ、皆さんは皆さんの素敵な笑顔を忘れないでください。ZARDというグループを御存じでしょうか。そのボーカリスト坂井泉水(さかいいずみ)さんが(彼女は今は亡くなってしまいましたが)「負けないで」という曲を歌っています。この「負けないで」は1993年1月に発表されてヒットした曲で、その後ずっとエールを送る言葉として歌い継がれています。皆さんのお父さん、お母さんの世代の方の方が良くご存じかも知れません。坂井泉水さんは、その曲の中でこう歌っています。

 "負けないで もう少し 
  最後まで走り抜けて"
 
 "何が起きたってヘッチャラな顔して 
  どうにかなるサと"

 皆さん、失敗して落ち込んだり、心が折れそうになることがあってもヘッチャラです。何回失敗しても、どん底と感じる時があっても、そこからくじけず立ち上がってください。どうにもならない失敗なぞありやしまません。失敗という経験は、いつもチャンスを伴ってやって来ます。素敵な笑顔、スマイル、いつの時もこれを忘れないで人生を歩んでいってください。

 本日の卒業生に対して、大学からお祝いとして、黄色い水仙の花(黄水仙)を卒業証書・学位記とともにお贈りします。花の贈呈は東洋英和女学院の慣行で、その起源は戦前まで遡ります。黄水仙の花ことばの一つに「愛に応える」があります。皆さんは、黄水仙の花一輪一輪に込められた「敬神奉仕」の建学の精神とスクールモットーをどうか忘れないで頂きたいと思います。「敬神奉仕」が、未知の世界に向かって船を漕ぎ出さんとする東洋英和の卒業生に力強い支えと追い風になってくれるに違いありません。

 今日のこの卒業式は皆さんにとっては東洋英和女学院大学での最後の日ですが、同時に、次のステップへの始まり、コメンスメントです。強い意志と高い志を持ち続けて人生を歩む皆さんの、今後のご健闘と、そして皆さんの未来に栄光があることを祈ります。どうぞ、自信を持って東洋英和女学院大学を巣立ち、大学で育てた大きな、大きな二つの翼で空高く羽ばたいて下さい。

 皆さんの未来に輝かしい実りと栄光があらんことを祈ります。Wish you the best of luck in your future.

2023年3月10日

東洋英和女学院大学
学 長 星野 三喜夫 
 
 
(" "は ZARD『負けないで』より引用)

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