タイトル画像:大学概要
大学概要

学長室から

2021年度 大学9月卒業式式辞

 本日ここに、大学での必要な単位を修得され、卒業されるみなさん、おめでとうございます。みなさんの在学中のご努力に対し、衷心より敬意を表したいと思います。また、これまで皆さんを見守ってこられたご家族をはじめ、ご関係の皆様のこれまでのお支えに対しまして、みなさんとともに、革めまして感謝を申し上げます。

 とりわけ、みなさんが本学で過ごされた最後の1年半の期間は、いわゆる新型コロナウイルスによる感染蔓延という未曽有の事態の中で、さまざまな不便や不都合を経験されたことと思います。大学への入構を厳しく制限され、昨年度はほとんどの授業がオンラインでの開講となり、慣れない遠隔授業で戸惑われたことも多々あったに違いありません。幸いなことに今回のこの卒業式は、ささやかながらではありますが、改修のなったこのチャペルにおける最初の式典として執り行われることとなりました。実際にみなさんの顔を見て、声を聴いて、リアルな、生身の皆さんと対面して、学位を授与し、祝意を表することができることは、私ども教職員にとりましても誠に嬉しく、また有り難いという感懐に浸っているところです。

 さて、アフターコロナ、あるいはウィズコロナなど、今般のコロナ禍がひとまず落ち着いた後の世の中についてあれこれの観測が出始めているのは、みなさんもお気づきのことと思います。コロナ禍によって世の中では、いわゆるDX(デジタル・トランスフォーメーション)が大きく前倒しされ、遠隔による「非対面」「非接触」のシステムが定着しつつあるかに見えます。企業の経営や組織の運営という観点から考えれば、その合理性や効率性のメリットは明らかでしょう。コロナ禍に迫られて導入された新たなシステムは、その結果として人々の労働や生活のスタイルを変容させているわけです。危機が長期化すれば、それが常態、すなわち「新しい日常」と化して、「元の日常」は早晩忘却の彼方に追いやられることになります。

 しかしそうした新しいシステムが導入されることによって、従前の障害や制約が減殺され、劇的に合理化や効率化が進む面がある一方で、これに依存することでこれまで蓄積されてきた経験値が失われてしまう危険性にも目配りをしていただきたいと思います。

 とりわけ、本学のような小規模のミッション系女子大が、最も大事に考えているのは、学生諸君と教職員との間、あるいは学生諸君相互の間の人格的な関係の構築というところにあります。そのような関係は、PCやスマホの画面越しのやり取りの中からは決して生まれて来るものではありません。最初に、生身の、人間同士のリアルな接触や交流があって、そうした接触や交流を副次的に支えるツールとしてPCやスマホを活用するというのが、人間関係構築の本筋にほかなりません。アフターコロナやウィズコロナの直近の未来においても、この点ばかりは変わりようがないだろうと思います。これから実社会に漕ぎ出して行かれるみなさんには、この本筋を見失わないようにしていただきたいと強く願うものです。

 例年3月の学位授与式においては本学の母胎である東洋英和女学院に所縁の深い黄色い水仙の花が贈られております。季節が季節でありますのでこれに替えて今回はピンクのバラの花にいたしました。その花言葉には「上品」「気品」「輝かしい」などいろいろあるようですが、この場の皆さんにもっともふさわしいのは、「誇り」であろうと思います。この東洋英和女学院大学の卒業生として、誇りを持ち、胸を張って実社会という荒ぶる海に漕ぎ出して行ってください。みなさんの航海の無事を祈りつつ、これを以て私の式辞といたします。

2021年9月25日
東洋英和女学院大学
学長 池田明史