大学概要

礼拝奨励 26

題目:「つながる」ということ
聖句:~ヨハネによる福音書第15章4節・5節~


 今月の初めに、東洋英和女学院の同窓会が開かれました。中高部や短大、それに大学、大学院それぞれに学んだ同窓生が集まって、まず各々の会合を持ち、それから英和全体の同窓会総会に臨むという順序でした。各部の同窓会にはひとつひとつ名前が付いていて、大学の同窓会は楓美会と呼ばれています。東洋英和女学校時代から数えれば133年という、わが国でも有数の歴史を誇る学院ではありますが、四年制大学としての本学の歴史はまだ30年にも達しません。それでも来年には、最初の卒業生を送り出してから25年目、四半世紀の節目を迎えることになります。皆さんの先輩にあたるこの楓美会の役員の方々が、会の設立25周年を記念する事業を計画されていると伺っており、これをきっかけとして大学同窓生の絆を少しでも強めようと日夜奮闘しておられるところでありますし、大学としてもそのような努力を可能な限り支えていきたいと考えております。私もこの機会に、連絡の取れるゼミのOG諸君に声をかけ、OG連絡会なるものを立ち上げることと致しました。御承知の通り、本学のゼミナールは学年「輪切り」の形態であるため、一つのゼミでは同じ学年のゼミ生が二年間(基礎ゼミから持ち上がった学生なら三年間)一緒に学びます。そのため横のつながりにはなかなか強いものがありますが、縦の関係となると、課外活動などでつながっていなければどうしても希薄になる傾向があります。そのような縦の関係を幾分なりとも紡ぎ上げたいと思って、今年の同窓会総会に合わせて最初のゼミOG連絡会を開いたのです。

 卒業以来初めて見る面々も少なくなく、皆一様に立派な社会人や家庭人になっていて安堵しました。ゼミが立ち上がって最初のころの卒業生と今年巣立って行ったばかりの人たちとの間には20年近くの年齢差があるのですが、最初から最後まで和気藹々とした雰囲気のまことに楽しい会合となりました。そこで思ったことは、私たちにとって過去に「共通の物語」を持っているということの意義であります。偶々20歳前後の四年間を同じ学校で過ごしたというだけと言えば言えるのですが、同じ環境の中で同じ空気を吸いながら同じ体験を共にしたという事実は、決して小さなことではありません。ゼミでキャンプに行って、火を囲んで談笑していたら、指導教員が酔っ払ってのけぞって、そのまま丸太のようにゴロゴロと転がって川にはまったとか、実にたあいもない経験なのですが、そんな話をし出しますと、「そうそう、あのときはねぇ‥」と、忽ちその頃の自分たちに戻って、当時の感覚が鮮明に蘇るのですね。同じ物語を共有するというのは、そういうことなのだろうと思うのです。そして、そういう物語を共有して、その物語の中でそれぞれの役割を果たした人々との関係は、かけがえのない、他の誰とも代替したり交換したりすることのできない、唯一無二の関係なのだということです。あの時、笑い転げて興奮して夜中に熱を出したのは誰それさんであって、また、皆で作ったカレーの自分の皿から隣の子がよそ見している間に人参だけを大量にその子の皿に移してたのは何子ちゃんだったのであって、他の誰でもないのです。そのような同じ物語を共有しているひとびととの再会の中で、それぞれの物語の続きが、より幅を拡げながら、また動き始める。ゼミOG連絡会といい、楓美会総会といい、そのような瞬間を垣間見ることができたのは、私にとって極めて幸福な出来事でした。

 そして思ったのです。「私につながっていなさい。私もあなたがたとつながっている」という言葉に始まる本日の聖句もまた、意味するところは同じではないのか、と。キリスト教に基づく全人教育を目指して建てられた私どもの大学を含めて、非常に広い意味で聖書という壮大な物語を共有するひとびとが、この物語の続きを現実の歴史の中で展開していく。そのために、私どもはそれぞれの役割を果たしていくのです。私たちの目からは偶然としか見えないような、そうした出会いと関係性の中で、私たちひとりびとりが、他の誰とも代替できない、交換できない、かけがえのない、唯一無二の大切な存在として立ち現われてくるのであります。           以 上