2015年度 ミャンマー スタディツアー 生徒報告1
「ミャンマースタディツアー」
学年:高一 S.K.さん
期間:2015年8月9日~17日
私は8月9日~17日の9日間、東京大学、東洋英和女学院大学・高等部からの22人でミャンマースタディーツアーを行いました。
私がこのツアーに参加した理由は2つあります。
1つ目は、民主化が進み日本との関係もより深くなっているミャンマーという国に興味を持っていたことであり、2つ目は、将来国際社会について学び、国際協力に関わる職業に就きたいと思っていることです。
これらの理由から、このツアーで最も興味を持ち、印象に残ったUNHCR(United Nations High Commissioner for Refugees-国連難民高等弁務官事務所)について書こうと思います。
1.UNHCRとは
UNHCRは世界各地にいる難民の保護と支援を行う国連機関です。
UNHCRは国連総会によって創設され、1951年にスイスのジュネーブを 拠点に活動を開始しました。
当初は第二次世界大戦後の後遺症がまだ残るヨーロッパにおいて、100万人以上の難民の援助を行っていました。
難民が増えるにつれ、当初3年の活動予定であったUNHCRは、その存続期間を5年ごとに延長してきましたが、2003年 12月、国連総会はその存続期限を撤廃することを決定し、UNHCRは難民問題が解決するまでの恒久的機関となりました。
現在、アフリカや中東の紛争等によりヨーロッパへの大勢の難民が押し寄せていることが世界的な問題となっていますが、UNHCRはこの問題に対してもEUの取り込みが不十分であるとコメントするなど積極的に関与しています。
UNHCRにとって支援対象者は難民だけではなく、庇護希望者や帰還民、無国籍者、国内避難民の一部も含まれています。
125か国450のオフィスを所有し、900以上のNGOと協力しつつ約9300人の職員が働いています。
近年シリアでの問題など世界的に難民や避難民の問題が増えており、昨年のUNHCRの予算は約8000億円にまでのぼっています。
しかし、実際に集まった資金は4000億円に留まっていて、十分な支援はできていません。
そもそも国連機関は資金のほとんどを寄付でまかなっており、UNHCRは資金の92%を各国の政府から、6%を企業から、そして2%を国連から受け取っています。
日本もUNHCRに資金提供を行っています。
政府からの資金提供のランキングでは、1位のアメリカ(48%)、2位のEU(10%)、3位のイギリス(8%)に続き4位が日本(7%)となっています。
2.ミャンマーにおけるUNHCR
ミャンマーでは難民、国内避難民、無国籍者が主に問題となっています。
難民は自国から他国へ逃げる人、国内避難民は国境を越えられずやむなく国内に留まっている人、そして無国籍者とは逃げた国の国籍が取れず、どの国からも国民と認められていない人のことです。
ミャンマーへの難民はいないため、UNHCRは主に国内避難民の支援をしています。
ミャンマーには現在38万人以上の国内避難民、100以上の無国籍者がいるそうです。
その理由としては、隣国のタイなど難民の受け入れをしていない国があることが挙げられます。
難民認定を求める人5000人に対して、難民認定される人は11人に留まっています。
UNHCRは国内避難民に対し、キャンプのコーディネート・マネージメント、エマージェンシーシェルター(仮設テント)の提供、ノンフードアイテムズ(薬、洗剤、蚊帳、衣類、日用品などの食糧以外に必要なもの)の提供を行っています。
UNHCRが提供している衣類の中にはユニクロからの支援のものもあり、寒い時期の防寒に役立っています。
また、物資の支援だけでなく、カチン州などキリスト教徒の多い地域ではキリスト教に団体にも支援を要請したりと精神的なサポートも行っています。
しかし、UNHCRは各国から集められた資金の使い道を決めることができないため、難民問題が大きくなっている一方、ミャンマーのUNHCRには予算の半分もお金が集まっていません。
少ない予算から難民、国内避難民、無国籍者の支援をし、支援を進めていつか彼らが帰ってこられるよう活動しています。
【感想】
私はこのツアーに参加して、初めてUNHCRという団体、またその活動について知りました。
また、ミャンマーでの難民、国内避難民、無国籍者の問題について詳しくお話を聞いたのも初めてでした。
予備知識がほとんど無く、また説明も英語の場面が多かったため、その場その場で理解できることはわずかでしたが、滝澤先生の説明、また、大学生の方の手助けのおかげでUNHCRやその他ミャンマーのことについてより興味を持ち、理解することができました。
私がUNHCRについて最も印象に残ったのは、難民への支援は物資だけではないということです。
もちろん食糧や暮らすためのテント、日用品なども必要ですが、精神的なケアが難民の人たちには欠かせません。
特に女性や子供の心のケアは重要です。戦場だけでなく、難民キャンプの中でも女性や子供への暴力は起こっています。
そのような人たちを救うために、女性や子供の気持ちになって考えることができる女性職員が現場で活躍しています。
UNHCRはこのような細かいケアをも行っているということと、多くの女性職員が最前線で難民の人たちのために動いているということに驚き、強く印象に残りました。
私たちの世代は、難民問題やその他の国際問題にあまり関心を持たず生活していますが、今難民問題は日本でも注目されており、世界的な問題となっています。
今回のツアーを通して学んだことをまず身近なTEAM、学校に伝え、より興味を持ってもらいたいと思います。