

ご挨拶

理事長
増渕 稔
(ますぶち みのる)
2018年6月29日就任式における理事長就任の辞
この度、大宮溥前理事長の後を受け、東洋英和女学院の第14代理事長に選任されました増渕稔です。
私が初めて東洋英和女学院と縁を持つようになりましたのは、2005年11月のことでした。この時、職場の先輩であった元日銀総裁の速水優さんと当時学院の理事長であった池田守男さん、このお二人から「東洋英和女学院の理事を務めるように」というお話を頂き、以来理事・評議員として、さらに2011年4月からは常務理事としての任務も担って、現在に至っています。
このように、私を東洋英和女学院に連なる者として下さったのは、速水優さんと池田守男さんという二人の大先輩なのですが、私自身は、お二人のようにごく若い時からキリスト教の信徒としての歩みを続けてきた訳ではございません。私が、様々に揺れ動く思いの下で、初めて教会の門を潜り、聖書を手にいたしましたのは、50歳という節目の年を迎えた直後の1995年のイースターの頃のことでした。それ以来、時間の許す限りは主の日の礼拝に通う生活が続いています。振り返ってみますと、あの日教会の門を潜った時から、今東洋英和女学院の理事長の任務を担うこととなるところまで、いわば一本の道で繋がっているようにも感じられ、不思議な力の働きを覚えずにはいられません。
東洋英和女学院は、建学以来134年の年月を経ておりますが、その間「敬神奉仕」の言葉で象徴される「キリスト教の教えに基づく教育」という建学の精神を堅持し、これを実践することで今日まで発展してまいりました。歴代の学院指導者を始め多くの先人達のたゆまぬ努力の賜物であり、心から敬意を表したいと思います。
しかしながら、現在東洋英和女学院を取り巻く状況は極めて厳しいものがあります。まず、東洋英和女学院に限らず、我が国の教育機関に共通することですが、人口減少と少子化が進展する中で、将来にわたってどのように「理想とする教育」を実現していくかという困難な課題に直面しています。また、学校法人として学生・生徒、教職員を始めとする様々なステークホールダーの多様な期待にどうバランス良く答えていくかという課題もあります。さらに、幼稚園・小学部の立地する六本木五丁目西地区における再開発事業にどのように関わっていくかということについても、学院の将来を見据えて適切な対応を考えていかなければなりません。
このように、学院を取り巻く状況は大変厳しく、数多くの対処すべき難題が存在していますが、このような時に最も大切なことは、「キリスト教の教えに基づく教育」という建学の精神を堅持する下で、役員、教職員が心を一つにし、力を合わせて様々な課題に取り組んでいくことであります。そうすることで、東洋英和女学院のさらに豊かな未来を開いていくことができると確信しています。私自身もそのために全力を尽くし、理事長としての責務を全うしたいと考えています。どうかよろしくお願いをいたします。
本日は、このようなかたちで、皆様のご出席を得て私の理事長就任式を執り行うことができましたこと、心より感謝申し上げます。

院長
髙橋 貞二郎
(たかはし ていじろう)
この度、2024年11月1日付で、増渕稔理事長より東洋英和女学院院長を拝命しました髙橋貞二郎です。微力ではありますが、絶えず祈りつつ、主のため、そして学院のさらなる発展のために尽くしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
本学院は今年、創立140周年を迎えました。この歴史の中で、神の守りと導きのもと初代校長マーサ・J・カートメルをはじめ多くの先輩方が学院の基礎を築き、後世に受け継ぐべき模範を残してくださいました。私もその歩みに学びながら、特に次の三つのことを大切にしていきたいと考えています。
1)キリスト教による人間形成を重んずる教育
東洋英和女学院は創立以来、どのような時もキリスト教を土台とした教育を行ってきました。歴史を振り返ると、学校における宗教教育を全面的に禁止する法令が出て、キリスト教教育を続けるか否かの決断を迫られた時がありました(1899年発令「文部省訓令第十二号」)。ですが、東洋英和はキリスト教教育を守る道を選び、今日に至っています。これからもキリスト教による人間形成を重んずる教育を展開していきたいと思います。
キリスト教の基盤である聖書には「あなたは私の目に貴く、重んじられる。私はあなたを愛している」(イザヤ書43章4節)というみことばをはじめ、随所に私たちに対する神の愛を伝える言葉が記されています。この神の愛に基づいて、一人ひとりをかけがえのない大切な存在として育むキリスト教教育は、神を愛し、自分を愛し、隣人を愛することにつながります。そこで養われた心は、いつでも、どこでも、どのような状況になっても人を真に生かし、周りにもよき影響と感化を与えていくかと思います。
2)「敬神奉仕」の精神
学院は創立以来、聖書に基づく「敬神奉仕」の精神を身につけて実践できる人を育み、世へ送り出すことを使命としてきました。建学の精神でもある「敬神奉仕」をこれからも大切にしていきます。また既に社会で「敬神奉仕」を実践している同窓生を応援したいと思います。
学院創立50周年を迎えた時、校長であったミス・ハミルトンは次のように年史に記しました。「この学校に関係する全ての人が、今後50年間、標語である敬神奉仕の精神を実践しようと真剣に努力するならば、東洋英和は間違いなく、最初の50年に人々が夢にも思わなかった実を結ぶことでしょう。」
このミス・ハミルトンの言葉通り、東洋英和は敬神奉仕の実践に力を注ぎ続け、見事な成長を遂げました。生徒2名から始まった学校は、現在、幼稚園から大学院までの3,000名を擁する教育機関へと成長し、卒業生も4万人を超えています。さらに学院を発展させていくためにも「敬神奉仕」の精神を大切にしていきます。
3)学院のビジョン
創立140周年を機に、学院の目的をさらに推進するため各部代表者が集まって話し合い、10年後の学院の未来を想定してビジョンを策定しました。そして、まとまったのが「敬神奉仕 Being Active in God’s World ~神さまから委ねられた世界で、人々のために自ら考え行動する~」です。
私たちを取り巻く環境は、これまでないほどのスピードで変化しています。その変化に対応しつつ、学院で学ぶ園児・児童・生徒・学生・院生に寄り添い、学院全体で力を合わせてビジョン実現のために新たな挑戦をしていきます。
今後も建学の精神を堅持し、未来に向けて歩む学院を、どうかあたたかく見守りご理解とご支援いただけますと幸いです。
2024年11月
院長 髙橋貞二郎