大学概要

学長挨拶~女子高校生のあなたに~

学長 池田 明史

皆さん、初めまして。

たくさんある私立大学の、そのなかでもミッション系女子大に分類される学校の学長として、これから大学や短大に進学を希望されている皆さんに一言ご挨拶申し上げます。

本学をはじめ、私立大学にはそれぞれ創立時に掲げた「こんな人間を育てたい!」という誓いのようなものがあります。建学の精神、建学理念、スクールモットーなど、さまざまな呼び方がありますが、本学の場合、それは「敬神奉仕」の四文字に凝縮されています。キリスト教精神に基づいて建てられた大学ですから、聖書に由来する言葉ですが、実はこれは真摯に生きようとする人間であれば誰にでもあてはまる目標です。

第一にそれは、「主体的に生きる」ことを意味します。人生には目的がある。このことを確信するのです。具体的には、例えば自分が四年間の学びの時と場とを与えられることの意味を突き詰めて考え、その考えに沿って自から学業や課外活動などに積極的に関わるといった姿勢につながるでしょう。

第二には、「他者と人格的な関係を築き上げる」ということです。他者もまた、自分と同様に、それぞれに目的を持った存在です。そのような他者を、自分の目的を達成する手段として扱わない。自他共生ということです。

大学も短大も、必ずこうした建学理念を掲げています。それらの思い・願い・目標に共通しているのは、一定の歳月をかけて、世の中に「成熟した市民を送り出す」という使命感なのだろうと思います。高等教育に進まれる皆さんには、自分が「市民としての成熟」を期待されているのだという自覚を持っていただきたい。それこそがまさに、「主体的に生きる」ことの出発点にほかなりません。

さて、その高等教育の現状です。戦前・戦中期に生まれた皆さんの曾(ひい)御祖母(おばあ)さんの時代には、女性が入ることのできる大学の数はとても限られていました。そもそも大学生という存在自体が、ごく一握りの恵まれた人々で、その中でも女性は例外的な存在でした。お祖母(ばあ)さんの時代になると、それでも三人に一人は高等教育に進むようになりましたが、短大よりも四年制大学の女子学生の数が多くなるのは皆さんのお母さんの時代を待たなければなりませんでした。そして今、皆さんはごく普通に大学での教育を受けられるようになったわけです。まず考えていただきたいのは、このような状況がもたらされたのは歴史的にはごく最近であり、しかもそれは、恵まれた先進国の社会においてのみの現象だということです。

2014年ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんのことを思い出してください。「女の子にももっと学ぶ機会を与えて欲しい」と訴えただけで、命を狙われて瀕死の重傷を負った少女です。全世界におそらく何億人もいるマララさんのような人たちから見て、皆さんが当たり前だと思っているこの環境が、どんなに輝かしく、また、羨ましく映っているかということを忘れないでください。

皆さんにはそのような自覚を持って、これからの学生生活を有意義に過ごしていただきたいと思います。

大学とは、何よりも「自分の頭で考える」ことを大事にする場所です。何を考えるかについては学問の領域によって、どのように考えるかは学問の手法によって、それぞれ違っているように見えますが、「詰めて考える」という点ではすべて共通しています。本学の場合、人間科学部と国際社会学部という二つの学部がありますが、いずれの学部においても、また、どの学科・専攻においても、それは同じです。そして最終的には、皆さんが「私はなにものか」「私たちはどこにいるのか」という問いを立て、考え続けることができるような場でありたいと望んでいます。

東洋英和女学院は、これまで歴史に名を留める幾多の女性を輩出してきました。先年、NHK連続テレビ小説「花子とアン」のモデルになった村岡花子や、その無二の親友であった柳原白蓮は、この東洋英和で出会い、お互いに支え合いながら、女性にとっては苦難の時代を主体的に生き切った先達たちです。私たちは、花子が述懐している「民主的で自主性のある教育」を現在の東洋英和女学院大学で受け継ぎ、次の世代の花子や白蓮を世の中に送り出すべく、全力を尽くしています。皆さんが、学業成って社会に巣立つ暁に、本当に充実した学生生活を送ることができたと満足されるよう、いっそうの努力を重ねてまいりたいと思っています。

学長 池田 明史